【掲示板】


ヘリコニア談話室ログ(2001年2月)


吉田初三郎 投稿者:管理人  投稿日: 2月28日(水)23時03分01秒

土田さん

吉田初三郎のページを覗いてきました。こんな仕事をされた人がいたのですねえ。ビックリです。
これはぜひとも原寸大のを見てみたいです(特に大阪市内)。それこそ時間を忘れて見入ってしまいそうですね。
堺市博物館で現物を見ることができるのですか。時間を作って一度行ってきたいです。
土田さん、貴重な情報をありがとうございました。

>でも最初のは持っていないかも知れません。本の表紙は頭に浮かぶんですが。持っているのか?
>あとなんか1冊持っていた気がします。
>何故かダブっているはずですが、どこにあるのかわかりません。

この人は自分の蔵書も把握してないのか、とお思いの皆さまは、土田さんの書庫をご覧になって、考えをお改め下さい(^^)。→本棚
ね、納得でしょう(^^;。
また土田さんのホームページ幻想文学館では稀覯本の書影を見ることができます。すばらしいです。ぜひ見に行っていただけたらと思います(>ALL)。

福田紀一さんとはある機会に同人誌のメンバーでお会いしたのですが、「良い作品が出来たら見せて下さい」とおっしゃって名刺を一枚下さいました。後日その名刺を人数分コピーしてメンバーに配布したことでした(^^;。20年以上前の話です(^^;ゞ。
 


ありがとうございます! 投稿者:Y  投稿日: 2月28日(水)22時14分52秒

『SFショートショート傑作選』の件、ありがとうございます。
まだまだ読んだことがない作品がありそうで、楽しみです
先頃話題になっていた「サロンは終わった」をヤフーオークションで
落札できました。うれしいことの続くこのごろです。
(「ゲームブック時空の旅人」は所持しています。)

福田紀一、おもしろそうですね。私も探してみます。
全く知らない作家でした。



吉田初三郎 投稿者:土田裕之  投稿日: 2月28日(水)00時22分01秒


>『霧に沈む戦艦未来の城』『神武軍大阪上陸す』『ホヤわが心の朝』
面白そうですね。でも最初のは持っていないかも知れません。本の表紙は頭に浮かぶんですが。持っているのか?
「神武軍」はSFAに紹介されていた覚えがあります。
あとは先の「日本ヤタケタ精神史」のほか「オデュッセウス周遊券」とあとなんか1冊持っていた気がします。
情けないことに全て未読ですので何も書けません。
小松左京さんとの繋がりは聞いたことがあります。
それにしてもお目にかかったことがあるとは!
「オデュッセウス周遊券」は何故かダブっているはずですが、どこにあるのかわかりません。

これも読みますね。できるだけ早く・・。

なお吉田初三郎の鳥瞰図については、こちらのHPが良くまとめられているようです。

http://www.for-you.co.jp/yoshi/index.htm

現物は懇意の古書店さんがたくさん持たれていたので、結構沢山見せてもらいました。
買いはしませんでしたが、なかなか面白いものです。
コレクターもそれなりにいるようです。
一度「鑑定団」でも登場しました。

http://www.02.246.ne.jp/~pooh


吉田初三郎って? 投稿者:管理人  投稿日: 2月26日(月)22時15分45秒

土田さま

『霧に沈む戦艦未来の城』(タイトルこれが正解です、スイマセン)は、中之島がそのまま巨大戦艦に変身し、中之島図書館の膨大な本を燃料にして(^^;出撃するという、まことにバチあたりな(?)お話だそうです。実は私も未読です(汗)。
『神武軍大阪上陸す』は、神武天皇東征軍が淀川をさかのぼり現代の大阪に上陸するそうです(^^;。
『ホヤわが心の朝』は、ホヤ(!)の高校球児が甲子園めざして大活躍するらしい(^^;ゞ。

たしかに変わってますねえ(^^)。

著者の福田紀一さんとは一度お目にかかったことがあります。福田さんは『日本アパッチ族』のキイやん(だったっけ)のモデルでもあります。

うーむ、書いているうちに、読みたい気持ちがムラムラと湧いてましたよ(^^)。

>地図といえば吉田初三郎の鳥瞰図なんか面白いと思います。
済みません。全然知りません(汗)。教えて下さい。それはネットで見れるのですか?


おお 投稿者:土田裕之  投稿日: 2月26日(月)02時10分30秒

大熊さん
さすが!福田紀一をお読みですか。
これまた積読作家の一人なんですが、変わってそうですよね。
まずは「日本やたけた精神史」を読もうと手元においてあります。

地図といえば吉田初三郎の鳥瞰図なんか面白いと思います。

http://www.02.246.ne.jp/~pooh


地図を眺めて 投稿者:管理人  投稿日: 2月25日(日)20時49分49秒

昨日ご紹介した蜆川の地図(の原地図)を眺めていると、時を忘れて見入ってしまいますね。
見ているだけで、物語めいた感興が身内に興ります。けだし物語とは時の堆積なんでしょう。

明治45年といえば、日露戦争が明治37年ですから、まさに日本資本主義の勃興期。
地図上、堂島川から安治川にかけて点在する日本紡績會社、冷蔵、住友倉庫、伸銅所、電燈會社、商船會社、内外綿會社などの文字が、そういう時代の雰囲気を伝えているようです。

ところでふと気づいた疑問。
この地図は「明治45年頃の福島」と明記されています。ところで天満焼けは明治42年だったはず。この天満焼けで蜆川は消滅した筈なのに、この地図には存在しています。

地図の改訂は遅れるものですから、そのせいかも知れません。
しかし、案外蜆川の川筋は残っていた可能性があります。

天満焼けで生じた瓦礫で、蜆川は埋め立てられたということです。
これを具体的な絵として想像するに、市民がそれぞれに自分の焼け落ちた家をを片づける際に、大八車なんかに瓦礫を積んで、蜆川に捨てにいったのでしょう(大阪市が投棄場所として指定したのでしょうか)。

阪神大震災の時でも片づけには半年以上はかかったと思います。クレーン車などあるはずがない明治時代ですから、蜆川への投棄(=埋め立て)は数年がかりの大事業だったのではないでしょうか?
だとすれば明治45年の時点で、蜆川は、水はないにせよ川筋としては現存していたとしても不思議ではない。そういう可能性は十分考えられますね。


梅田東遷 投稿者:管理人  投稿日: 2月24日(土)22時16分19秒

蜆川漁人さまより、明治45年頃の蜆川の地図を送っていただきましたので、皆さまにもお見せいたしましょう(^^)。→ここ

本当はもっと広い地図なんですが、ダウンロードするのに10分以上かかってしまいますので、蜆川周辺だけ切り取ってもらいました。これだけでも1000KBあります。重いです。
これを眺めると、「霧にけぶる戦艦未来の城」(中之島のことです。福田紀一さんの同題小説参照)に勝るとも劣らない「堂島」の、威風堂々たる姿がしのべます。

また、この地図では見えませんが原地図を見ると、出入橋から桜橋の間(即ち現在の西梅田界隈)を梅田と称していたことが判ります。その結果大阪駅の南辺(現在の梅田)は東梅田で、御堂筋の両側(から蜆川北岸)は曾根崎だったようです。
前にも書いたように蜆川埋め立て後(天満大火後)、梅田は東遷したのではないでしょうか?


SFショートショート傑作選 投稿者:管理人  投稿日: 2月24日(土)21時15分32秒

Y店長

じっくり数えてみたら、眉村作品は7篇だけでした。眉村さんが一番少なかった。
編者の福島正実の文によると、「このSFショートショート集は、北は北海道から南は沖縄まで、日本中の新聞のヤングのページに数年間にわたって掲載されたSFから選んだ作品集」とのこと。

眉村さんのタイトルを挙げておきますと、
冬の午後/おくりもの/時間銀行/晩めし/忘れもの/お客さん/ボディガード
他の作品集に収録されたことはないもののようです。

>どこかにあったら現物を見たいですが…。
読んでデータを写したらお譲りしますよ。
アドベンチャーゲームブック「時空の旅人」(角川文庫)っていうのも見つけたので、これも一緒に送りますね。
しばしお待ちを・・・


「一日3枚」到着しました 投稿者:Y  投稿日: 2月24日(土)13時00分51秒

こんにちは。5巻、届きました。
「434 応対機構とのやりとり」が最高!
留守電SQ1との会話が笑えました。
大熊さんの言われるとおり、「人外」とのふれあい(?)を描かせたら日本一!ですね。


>福島正実編『SFショートショート傑作選』
うわー、心当たりないですね。どこかにあったら現物を見たいですが…。
何かにすでに収録されているものでしょうか?気になります。


眉村SS発掘 投稿者:管理人  投稿日: 2月23日(金)22時45分24秒

福島正実編『SFショートショート傑作選』(秋元文庫・昭和51年5月10日発行)というのを発見。
執筆者は内田庶、福島正実、眉村卓、光瀬龍の4人です。まだきちんと数えてませんが、54篇収録されていますから、眉村作品も14、5篇収録されているのでしょうか。
Y店長のリストにもなかったと思うのですが、Yさん、ご存じでした?


追想 投稿者:管理人  投稿日: 2月22日(木)21時41分36秒

○○さま
『日課・一日3枚以上』第5巻が届きました。お手数をおかけしました。

早速挟み込みの月報<卓通信>に目をとおしました。
回想記風エッセイ「阪南団地の頃」、いいですねえ。しみじみしちゃいましたです。

エッセイによりますと、阪南団地から播磨町の現在のご自宅に引っ越されたのが昭和50年(1975)の暮れということです。
丁度この前後数年間、小野霧宥、西秋生、所与志夫、柊たんぽぽ、雫石鉄也、山田大治、南山鳥27、おっと忘れちゃいけない寺方民倶(テラホーミング)ら錚々たるメンバーの驥尾に付して、私は銀座ハイツの眉村さんの仕事場や、播磨町に移られてからはご自宅の2階に、毎月のように押しかけていたのでした(現・人外境ご主人の中さんは名張ということもあって、ここには来てなかった)。
あの頃は楽しかったなあ・・・
風の翼のメンバーとは、それから25年後の現在も付き合っているのですから、眉村さん(チャチャヤング)との出会いが私の後半生に決定的な影響を持ったことは間違いないでしょう。縁(えにし)とは不思議なものですね(^^;。


ニアミスだ 投稿者:管理人  投稿日: 2月21日(水)21時28分56秒

○○さま

>今日「日課・一日3枚以上」第5巻の発送を終えました
ご苦労様でした(^^)。

>皆様、わくわくして待っていて下さいね。^^
楽しみですー、わくわく!
                           


「日課・一日3枚以上」第5巻発売中! 投稿者:管理人  投稿日: 2月21日(水)21時23分38秒

○○さま
おお、ようこそお越し下さいました(^^)。

>しかも当社の宣伝までして下さるとは・・・。
なんのなんの。昨日は白梅軒さまでも営業してきました!
ひとりでもふたりでも、読者が増えてほしいですね。

>皆様に喜んでいただけることが、なにより仕事の励みになりますので・・・。
「日課・・・」のような本は色々ご苦労が多いことと思いますが、どうぞわれわれファンのためにもよろしくお願いいたします。頑張って下さい!

またちょくちょくお立ち寄り下さいね(^^)。



今日発送終えました 投稿者:担当者○○  投稿日: 2月21日(水)21時19分03秒

こんばんは
 バタバタしながらなんとか今日「日課・一日3枚以上」第5巻の発送を終えました。ほっとしています。明日、明後日ごろにはお手元に到着することと思います。
 皆様、わくわくして待っていて下さいね。^^
                           では、ご報告でした


早速の掲載ありがとうございます 投稿者:担当者○○  投稿日: 2月20日(火)23時19分25秒

管理人様
早速の掲載、しかも当社の宣伝までして下さるとは・・・。ありがとうございます。皆様に喜んでいただけることが、なにより仕事の励みになりますので・・・。
大熊様、ならびにここをご覧の眉村先生ファンの皆様、これからも何卒よろしくお願いします。


眉村さん最新刊 投稿者:管理人  投稿日: 2月20日(火)21時21分00秒

真生印刷の眉村先生ご担当様からメールを頂戴しました。下に転記します(無断転載お許し下さい。問題があれば御一報下さい。至急削除します>ご担当様)。
――――――――――――――――――
こんにちは
 いつもお世話になっております。真生印刷(株)の○○と申します。
先週、「日課・一日3枚以上」第5巻が出来あがり、明日発送できそうですので、さっそくご連絡差し上げます。
お待たせしてしまい、誠に申し訳ございません。まもなくお手元にお届け致します。

 大熊様のHP紹介文が掲載されてあります第6巻は、ただいま校正が済み、急ピッチで作業を進めております。
1ヶ月に一巻ずつ、という当初の目標から、最近かなりずれてきておりますので、眉村先生のファンの方々にはご心配をおかけしていると存じます。
 ぜひとも第6巻は3月に発行したいとがんばっておりますので、どうぞご容赦くださいませ。

 HPもいつも楽しみに拝見させて頂いております。また発行日などで不明の点などございましたら、ご連絡下さい。

                                              とりいそぎ、ご連絡まで
                                                    
                                                    真生印刷梶@○○

――――――――――――――――――
というわけで、いよいよ今週末には眉村先生の『日課・一日3枚以上』第5巻を手にできそうです(^^)。
真生印刷の皆さま、どうもありがとうございました。毎度ながらご苦労様です。第6巻以降もよろしくお願いいたします。
なお、この掲示板どんどん宣伝に使って下さい!吹けば飛ぶような微小掲示板ですが(^^;ゞ。

皆さまも、どうぞご注文下さい!
真生印刷鰍フ電話番号は0722−27−8911です。

けれども、ご注文はFAXが一番手っ取り早いです。
FAX番号0722−28−5395
  ↑
こちらに、送り先の住所・名前・注文号数(最新は第5号)・注文部数を明記してファックスして下さい。
定価は送料込み2500円です。お支払いは到着した本に郵便振替用紙が挟み込まれてますので、それを利用して下さい。


論理性と自立性 投稿者:管理人  投稿日: 2月18日(日)21時08分26秒

河本さま

> あの掲示板を読んでくださったのでしょうか?
いちおう河本さんと高野さんの発言は読みました。

>むしろ芸術と科学の対比のほうがよいかと思います。
そうですね。でもある種の論文は芸術だと思うことがあります。
学術論文は、論理を重ねていってランダムな事実群の背後に、或る傾向を見出す場合があります。
それには顕在化のための方法論(加工)が不可欠です。
たとえば調査して得た一見ランダムな統計的数値を自乗してみると、突然有意な傾向が現れたりします。

調査論文の大半は経験的推測を後追いし裏付けるだけで(常識の再確認)、つまらないですが、たまに調査者が思いもしなかった結論を引き出すことがあります。
そういう論文は読んでも面白く、その論理(方法論)の扱い方は、ときに「芸術」のように思えます。それはいわば論理に基づく芸術ではないでしょうか。
探偵小説や純粋なSFは、そういう論文を読んだときに得られる「感覚」を、事実ではなく、創作によって意図的に再現しようとするものだと私は認識しています。

では、このような(論理)小説は、<自立的>でないのか?
昨日はそうと取れるような書き方をしてしまいましたが、どうもそういうことでもなさそうです。

たとえばヴァン・ダインの(初期の)探偵小説は、まさに上の論文的小説です。
私は著者の仕掛けた論理を楽しみながら読むわけですが、しかもなおファイロ・ヴァンスの得意げな長広舌や、ヴァンスとマーカムやヒースや私である作中のヴァン・ダインたちのやりとりを楽しみにして読みます。また描写される当時のニューヨークの雰囲気も愉しみのひとつです。

上の事柄は、おそらく著者が意図的にねらった効果では必ずしもないと思います。
私が勝手に小説から読み取っているだけなのです。これが小説の作者からの自立性です。私がヴァンダインを好むのは論理的楽しみよりもむしろかかる著者の意図を離れた部分の楽しみに多く依っています。
したがって論理性が危うくなった後期の作品も、私には充分に楽しめるものです。ある意味後期のヴァン・ダインを、私は探偵小説として楽しんでいるのではないということになりますね。

結局のところ、私のいう<自立性>はこう言うことなので、(著者の意図である)作品の論理性となんら排斥しあうものではないです。
というわけで、
>読者の解釈で犯人が変わってしまったら探偵小説になりませんね(^^)。
という私の発言は撤回します。混乱していました。

高野作品は申し上げましたようにきっちり読んだわけではないので、具体的なことは何もいう資格はありません。
が、一般的に言って、
1)作者の論理(説明)に対する志向が作品に読みとれれば、(論理の出来不出来に関わらず)それをSFと認識するに何ら躊躇はありません。
2)次に、その論理性(説明性)の出来が良ければ楽しみますし、出来が悪ければ楽しみません。
3)しかし(後期ヴァン・ダインのように)論理の出来が悪くとも、小説に<自立性>があればその方面で評価することは十分にありえます。
4)論理性が満足できるものであれば、<自立性>がダメダメでも、わたし的にはオッケーです(^^;。ホーガンの「時間泥棒」はこの例です。

X軸に説明性を取り、Y軸に自立性を取りますと、第1象限には自立性も説明性も共に+の作品群が入ります。いうまでもなくこのような作品はオッケーです。
第2象限は説明性(+)、自立性(−)の作品です。「時間泥棒」がそうですが、私はオッケーです。
第3象限はともに−です。これはペケです。
第4象限は説明性(−)、自立性(+)です。これはSFとしてというより小説としてオッケーということになります。

第4象限作品を楽しむ要諦は、読むときのスタンスの問題になるのではないでしょうか。
さっきまで読んでいた「剣豪将軍義輝」では、妊婦の死体から胎児を取り出して生き返らせたり、人間が凧のように風に乗って飛び去ったりしますが(その説明は何もありませんが)、非常に面白い小説でした。

>岡山=僕の田舎の祖父の藁葺き屋根の家屋の風呂は全部鉄製の釜でした。
長州風呂ですね。長州風呂の語源は調べてませんが、やはり長州を発祥地とするものではないでしょうか。それが岡山まで広がっていたのではないかと想像したのですが(^^)。


幻象機械 投稿者:管理人  投稿日: 2月18日(日)21時03分59秒

土田さま

>「幻象機械」は「幻想の明治」のタイトルで中央公論増刊の「SFオデッセイ」に一挙掲載され
>改題単行本化されました。
情報ありがとうございます。

>石川啄木がキーワードになっていて、とても面白かった印象があります。
おもしろそうですね。川又千秋の「幻詩狩り」のような話なんでしょうか?
これも読むべしですね(^^;。

>自分の読書速度しては一応1時間60ページが標準的な早さかなと思ってます。
>でもこれだと300ページで5時間かかるわけですし、翻訳ものだともっと遅いから、
>残業残業の毎日では一日1冊などとても読めません。
学生時代に1日1冊を日課にしたことがあります。2週間で読むという行為自体がイヤになりました(^^;。つまりオーバーフローしたわけで、どうも私の脳はそれくらいのキャパしかないようです(^^;ゞ。

>とりあえず「ムジカ・マキーナ」からですね。
また感想をお聞かせ下さい(読めと催促しているのではありませんからね(^^;、為念)。


芸術と科学 投稿者:河本  投稿日: 2月18日(日)14時32分08秒

 大熊様
 あの掲示板を読んでくださったのでしょうか?大熊さんの評論を拝見すると、とても科学的、論理的な思考をされるかただと思うのですが、あのような非論理的な・・・ケダさん、ごめん・・・掲示板をご覧になって大丈夫だったですか?思考は乱れていません? 

 高野さんは、”文系・理系”と分けられましたが、むしろ芸術と科学の対比のほうがよいかと思います。確かに、芸術は全てを説明せずに、見る者にセンスというか理解力を求めますね。表現は完成されたもので、それに対して解説するのは野暮というものですね。
 科学の論文は、それを理解するための知識を仮定することはあっても、基本的に誰にでもわかるように書きます。センスとか感性がない者には分からなくても良い、などと澄ましてはいられません。
 必然的に、芸術表現には多様な解釈の可能性が生まれます、それが作品は作家の手を離れれば、自立的な存在であると言われる所以ですね。

 しかし、両者の違いはそれほどないとも言えそうです。例えば詩の場合、詩人はただ素敵な言葉たちを並べたわけではなく、とてもリアルで具体的な物語をよけいなものを削ぎ落とし少ない言葉で表現したのですから、これは数学の抽象化と同じなのではないでしょうか。だから、読み手は各々の体験に照らし合わせて、まるで自分の詩のようにそれを愛することが出来るのでしょう。
 これは、数学の理論がその抽象的記述の故に、さまざまな現象に応用が出来るということに対応しています。
 説明が足りないというのと、それをある程度に留めるというのは違うように思えます。

 単に説明の有る無しで、ファンタジーとSFを分けられませんね。説明を尽くしてなおファンタジーであるという小説のあり得ますし・・・。”作品世界の成立の整合性にまで及ぶ説明”の有る無しならばファンタジーとSFを区別出来そうですけど。

 さらに事態をややこしくするのは、科学の方にも小平邦彦=フィールズ賞受賞者のように”数学者には数覚がある”などと言う人が居ますし、量子力学の観測の問題のように、厳密に記述されているのに、その解釈が何通りもあってまだ定まっていないというものもあるのです。これらは芸術の世界で語られることと同じではないですか。

  >五右衛門風呂
 鴫野のほうは定かでないのですが、岡山=僕の田舎の祖父の藁葺き屋根の家屋の風呂は全部鉄製の釜でした。浮き蓋をそーっと踏み沈めて、釜に触らないように湯に浸かったものでした。沸かす前の水を満たした釜に、田圃で掬ったタガメを放して叱られたりしました。関西だけのものだと書かれていましたが、四国では使われていたのでしょうか。森下さんに聞いてみたいですね。東海道中膝栗毛、厠の下駄を履いて入ったのでしたね。


山田正紀 投稿者:土田裕之  投稿日: 2月18日(日)05時07分30秒

「幻象機械」は「幻想の明治」のタイトルで中央公論増刊の「SFオデッセイ」に一挙掲載され
改題単行本化されました。
石川啄木がキーワードになっていて、とても面白かった印象があります。
当時影響されて啄木の本を買ってしまいました。

で、「神獣聖戦」ですが、新作はまだのようですがとりあえず旧作から「e-NOVELS]で
発表されています。いずれ新作が書かれるのでしょう。

自分の読書速度しては一応1時間60ページが標準的な早さかなと思ってます。
でもこれだと300ページで5時間かかるわけですし、翻訳ものだともっと遅いから、
残業残業の毎日では一日1冊などとても読めません。
(コンピューターを使わなければもう少し読書時間も増えると思うのですが)
読みたいから本を買うのですが、これでは溜まる一方です。

高野史緒さんの本も読まなきゃいけませんねえ。
とりあえず「ムジカ・マキーナ」からですね。(厚いんだよな、あれ)
とはいってもファンタジーノベルス大賞関係の本は全て積ん読です。
酒見賢一すら読んでいない私・・・。

http://www.02.246.ne.jp/~pooh


むずかしい! 投稿者:管理人  投稿日: 2月16日(金)21時43分59秒

河本さま
>大熊さんは高野女史の小説をどれか読まれましたか?
「ムジカ・マキーナ」という長篇を読んだことがあります。というか途中で挫折しました(^^;。
理由は色々あった筈ですが、ずいぶん昔のことで忘れちゃいました。

>物語の舞台となっている世界の説明・・・時空的な広がり、事象を司る原
>理、魔術がその要素であるならその細やかな記述、主人公たちのことも。
>前に書いたSFファンの求めるものですね。・・・が足りなくて謎が残る、
というのも理由のひとつだったかも知れません。最後まで読みきってないのでこの点は保留です。最後ですべての謎が回収されているのかも知れませんし(^^;。

ただし高野さんがおっしゃる
>「読み手が面白い解釈を見いだせるもの」
というのは全く同感なのです。
よい作品は作家の意図を離れて自立的に存在するものだと私も思います(実は昨日、全くおんなじ問題を、河本さんもよくご存じのさるお方とメールで話したばかりです。シンクロニシティだ(^^;)。

しかし
その一方で「作家の技を見物する」(SFでいえば<超越現象(謎)>に対する作家の解釈を楽しむ)という読み方もたしかにあるので、小松左京のSFはまさにこちらの典型ですよね。
また本格探偵小説の楽しみもそうで、読者の解釈で犯人が変わってしまったら探偵小説になりませんね(^^)。

うーむ、難しいです(^^;。
高野さんの作品むらむらと読んでみたくなってきました(^^)。その「錠前屋」に挑戦してみます!

Y店長
「天保からくり船」(時代SF?)読んでみますね。
最近時代小説にはまってます(^^;。『剣豪将軍吉宗』(徳間書店)途中ですがめっちゃ面白いです!!

>「合同オフ会」いいですね。いつか実現したいです。
是非やりましょう!


天保からくり船 投稿者:Y  投稿日: 2月15日(木)21時36分30秒

書誌事項を添えずに失礼しました。
光風社出版の単行本です。文庫は出ているかどうかわかりません。
図書館でふらりと借りましたので…。

「合同オフ会」いいですね。いつか実現したいです。


ご無沙汰です。 投稿者:河本  投稿日: 2月15日(木)19時57分26秒

 大熊様
 高野史緒さんの「錠前屋」を読んで、物語の舞台となっている世界の説明・・・時空的な広がり、事象を司る原理、魔術がその要素であるならその細やかな記述、主人公たちのことも。前に書いたSFファンの求めるものですね。・・・が足りなくて謎が残る、と感想をケダさんの掲示板に書き、それに対して高野さんのご意見は、「それは理系と文系の感覚の違い」であって、「読み手が面白い解釈を見いだせるもの」が良い小説なのではないか、ということでした。
 高野さんのおっしゃっていることは理解できます。僕の好みの問題なので、もっとSFっぽい小説をさがせば良いのです。でも、知り合った人の書かれたものを読んでみたいな、とも思うし。大熊さんは高野女史の小説をどれか読まれましたか?お奨めのものがあれば、お教え下さい。
         

http://www68.tcup.com/6811/kedaland.html


「天保からくり船」 投稿者:管理人  投稿日: 2月14日(水)20時21分27秒

Y店長
>あまりネットにアクセスしないので遅れ気味ですみません。
なんのなんの(^^)、無理しても長続きしないですよ、どうぞ店長のペ−スでお付き合い下さい・・・これからも末永くお願いします!

>「卓通信」すごいですね。楽しみにしています。
最初、300字をなぜか3枚と勘違いしまして、そのときは貴サイトにも触れてたんですが、気がついて書き直したら(なにせ300字ですので)ちょっと無理でした。申し訳ないです。しかしうちだけというのは片手落ちなので、何とか実現したいと考えています。

近い将来、眉村さんを囲んで合同オフ会を開きたいですね(^^;ゞ。

>「天保からくり船」を読みました。凄い!
おお、私も読みたいです! どこから出版されたものですか?


山田正紀 投稿者:管理人  投稿日: 2月13日(火)21時35分40秒

土田さま

>山田正紀
>は僕も大好きです。
私も大好きな作家の一人なんです。
土田さんが挙げられた作品は読んでいます。どれも抜群に面白かったですね(でも「50億ドルの遺産」のラストは覚えてません(^^;)。

>多分昭和55年頃の作品までしか読んでませんが。
私も、大体そんなところ。『謀殺の弾丸特急』みたいな冒険ものはもっと読んでみたいなと思っています。
ところで『幻像機械』って面白いのですか?

>ネットで「神獣聖戦」再開されたらしいですね。
知りませんでした。どこで読めるのでしょうか? でも有料なんでしょうね。

>ところで大熊さんは本を読まれるのが速いですね。
全然速くなんかないのです。時速100ページぐらいが最速で、普通は時速40〜50ページくらいだと思います。
『謀殺の弾丸特急』は意識して映画を見ているつもりで読みましたので、七面倒くさい心理描写、殊にも恋愛感情の描写は、ばんばんとばして読んだので2時間半で読めたんです。
ネットには年間300冊とか読まれる方がいらっしゃいますが、到底同じ人間とは信じられません(^^;ゞ。

>佐江衆一も一緒にお送りしますね。
よろしくお願いいたします。楽しみです!


すごいですね 投稿者:Y  投稿日: 2月13日(火)21時16分00秒

こんばんは。あまりネットにアクセスしないので遅れ気味ですみません。
「卓通信」すごいですね。楽しみにしています。
ところでATOK14を入れてみたら「眉村卓」が出なかったのでちょっと
悔しかったです。IMEでは変換できたのに。

最近山田正紀「天保からくり船」を読みました。凄い!
どこが凄いかを人に話せないのがつらい…


山田正紀 投稿者:土田裕之  投稿日: 2月13日(火)01時28分25秒

は僕も大好きです。
多分昭和55年頃の作品までしか読んでませんが。
「弥勒戦争」「宝石泥棒」「竜の眠る浜辺」あたりでしょうか。
ああ、「ツングース特命隊」も「崑崙遊撃隊」も良かったなあ。
「50億ドルの遺産」のラストも驚きました。なんであんな終わらせ方したのか。
私自身の感触としては「外れなし」です。
最近はミステリーがメインになってますが(版もとの要求もあるのでしょうが)
SF頑張ってほしいものです。
でもまだ見ていないのですがネットで「神獣聖戦」再開されたらしいですね。

ところで大熊さんは本を読まれるのが速いですね。
遅読の私には羨ましいです。なんで早く読めないんだろう。

佐江衆一も一緒にお送りしますね。
未読ですので内容は不明です。

http://www.02.246.ne.jp/~pooh


卓通信 投稿者:管理人  投稿日: 2月12日(月)19時25分59秒

さっき眉村卓先生からお電話を頂戴しました!
「〈卓通信〉でホームページの宣伝をやりませんか」
「やりますやります、ぜひやらせてくださいッ!」
というわけで、数時間かけて書き上げて(300字ですが(^^;)今、先生のご自宅へファックスしたところです。
そうしましたら、なんと先生の奥様から受け取った旨のお電話が・・・。
奥様とお話しするのは、指折り数えて22,3年ぶり。お元気そうなお声でした(^^)。

という次第で、たぶん『日課・一日3枚以上』(第5巻)の挟みこみ〈卓通信〉に、私の書いた拙HPの紹介文が(囲み記事で)のると思います。発売されましたらお知らせしますので、どうか皆さま、お買い上げ下さいますようお願いいたします。


謀殺の翼747 投稿者:管理人  投稿日: 2月11日(日)22時03分02秒

山田正紀『謀殺の翼747』(中公文庫)読了。
今回は航空アクション映画(^^)。
――アジアの小国P国の反政府ゲリラによってボーイング747がハイジャックされた。犯人は30億円相当のダイヤを要求する。それは「出来レース」の筈だったのだが・・・。747機の背後に
F−16戦闘機がせまる。・・・

今回は(航空アクションという制約もあって)登場人物たちの肉体的な動きが少ない。
行為が描写されず説明されるのは、これは山田正紀の低調なときの特徴なんです。というか仕掛けに熱中してしまって小説作りがなおざりにされるのでしょうか。
そのうえ変に内省的で暗く(私は山田正紀に内面描写など求めていません)、なんというか華に乏しいのですね。なかなかのっていけなかったのですが、終盤に俄然盛り上がって何とか着地しました。
まあ、よしとしておきましょう(^^;。


山田正紀『謀殺の弾丸特急』 投稿者:管理人  投稿日: 2月10日(土)22時12分34秒

山田正紀『謀殺の弾丸特急』(ノンノベル)読了。
これは面白い!!
著者十八番の、素人チ−ムがプロに勝つノンストップアクション小説――というよりも字で書いた映画ですな。
この作品、「火神を盗め」や「謀殺のチェスゲーム」のリーダビリティが復活しています。めっちゃ面白い!

国鉄を定年退職した元機関士の運転する蒸気機関車C57がカンボジアのジャングルを爆走する!
今回私、意識して映画を見るようなつもりで読みました。著者もそのつもりで書いたのだろうと思ったので・・・
どうもそれが正解だったみたいです。
ご都合主義の極みのようなストーリーなのですが、それが全然気にならなかった。なんたってノンストップムービーなんですから(^^;。
時間も2時間半で読了。ちょうど映画一本分の長さでした(^^)。
ウーム、なんか山田正紀の超冒険ものに、又はまりそうな予感が、、、


時空の旅人 投稿者:管理人  投稿日: 2月 9日(金)19時40分02秒

桜田壕さま
はじめまして。管理人です。ようこそお立ち寄り下さいました。

>アニメ映画で、確か”時の旅人”とか、そんな題名だったように思います。
はいはい。昭和61年12月に封切られた「時空(とき)の旅人」ですね。正月映画として「火の鳥」とカップリングでロードショーされました角川映画です。
監督は真崎守で、キャラクターデザインを萩尾望都が担当し、竹内まりあが主題歌を歌いました。
しかし・・・

>結局曲名も作曲者も分からずじまいでした
>その曲は、主人公たちが戦国時代の織田信長の居城「安土桃山城」に案内された時に、
>城内流れていたハープシーコードの音色なんですが.....
残念ながら管理人は知りません。なぜならこの映画、未見なんです(^^;ゞ。

というわけで、どなたか上の挿入曲をご存じの方はいらっしゃいませんか?
私も一度ビデオを借りてみようと思います(しかし聴いて曲名が分かるだろうか、、、)。

今回、管理人はお役に立てず、申し訳ないのですが、ひょっとしてご存じの方がいらっしゃるかも知れませんので、あまり期待なさらずにお待ちいただければと思います(^^;。

またちょくちょくお立ち寄りいただければ嬉しいです>桜田さま。


教えてください。 投稿者:桜田壕  投稿日: 2月 8日(木)19時17分15秒

初めまして。
ネットをふらふらしていたら、こちらのHPに入ってしまいました。

眉村卓さんと聞いて、昔見た映画のことを思い出しました。
アニメ映画で、確か”時の旅人”とか、そんな題名だったように思います。
現代の少年たちが、未来からやって来た少年と共に時空を遡っていく話です。
(すいません。細かい内容については覚えていないんです。)

ただ、その映画の中で流れていたある曲が気になって、当時いろいろと調べてはみたのですが、結局曲名も作曲者も分からずじまいでした。
その曲は、主人公たちが戦国時代の織田信長の居城「安土桃山城」に案内された時に、城内流れていたハープシーコードの音色なんですが.....

眉村卓さんに詳しい方々なら、もしかして映画の中で流れている曲についても知っている方がいるのではないでしょうか。
曲名、作曲者等、知っている方がいらしたら教えてください。

よろしくお願いいたします。


「スロッピイ号」 投稿者:管理人  投稿日: 2月 7日(水)21時57分59秒

Y店長

>上昇志向の人々、初期の作品によく見られるように思います
だから、『精神集中剤』を読んだとき、あれっと思ったのでした。老成というか・・・『一日3枚』シリーズではさらにそれが深化している(^^;

「スロッピイ号」はおっしゃるように、200編だったか300編になる予定だったようです。
SFアドベンチャーが終刊したので無理心中させられたのかもと思ったので、石原博士のデータベースを検索したら、そうでもないようです。SFA誌には1話から9話までしか発表されてませんね。奇妙です。


猛烈サラリーマン 投稿者:管理人  投稿日: 2月 7日(水)21時02分21秒

MZTさま
おたよりありがとうございました。
>新古典派経済学
>的観点からこの短篇を書いたのではないかと思うわけです。
おお、そうだったんですか! 一人で考えていても自分の中にないものは出てきませんから、そういうご指摘は本当に勉強になり、ありがたいです(^^)。

眉村さんの主人公はみんな眉村さん本人ではないかと思います。
そういう意味で眉村さんは巨視的には首肯できない流れであっても、その流れの中にいる限りは絶対みんなから遅れたくない、いや少しでも先を行くために頑張る・手を抜かない、まさに「本当にまじめで真摯な方」なんだと思います。
そしてそれは多かれ少なかれ「高度成長期」を支えた世代の共通倫理観だったのではないでしょうか(そういう生き方がいいのか悪いのかは、また別の話です>「消滅の光輪」がよい例(^^;)。この感覚は私の世代あたりまでは分かりますが、若い世代にはどうなんでしょうか?


真面目な人々 投稿者:Y  投稿日: 2月 7日(水)20時26分11秒

上昇志向の人々、初期の作品によく見られるように思います。
私は所持していない本なのでうろおぼえですが「よじのぼる」
(収録:「虹は消えた」早川,69/「サロンは終わった」早川,74)とか。
「とほほ」な結末に終わることが多い司政官シリーズもそうでしょうか。
苦い結末が人生にはある、といわれたような気がして、これらの作品群が好きです。
 #キャラ萌え(^^;)で眉村作品を読むのは邪道だと思いますが、こういう
 主人公たちを見ていると「よしよし」と言ってやりたい気分になります。

長くなりますが。
「スロッピイ号」私も持っています。以前別の本で「大河ショートショートになる
予定」と横田氏が言っていたような気がするのですが、続きはどうなったんでしょう。
ある意味スタートレックみたいだと思いました。

しつこいですが。
「楽園の鏡像」、ギャグが基調なら許せるんですよ。女の子に「もっとやれ!」
とか思ったりして。地がシリアスに語られているから、なんだこのキャラは、
みたいに思えるのかも。


高度成長期? 投稿者:MZT  投稿日: 2月 7日(水)09時34分53秒

MZTです。

「ぼくは消えた」の主人公は現在のプログラマーと重なって見えますね。
年度が経った今、読み返してみる(あるいは読んでみる)と未来を予見
することができたという意味ではSFしていると思いました。

というのは読み終えたときの感想で、眉村さんはたぶん新古典派経済学
的観点からこの短篇を書いたのではないかと思うわけです。感覚的に、
「競争の結果、歪みのなく一番ベストな状態になることができる」という
ことを体得されているのではないかと思うわけです。これは大熊さん
の「企業戦士を見出す能力」という眉村さんの感覚と同じなわけです。

書かれた年度を考えると、高度成長期の日本経済を反映したSFになって
いるというのはまさに時勢を反映したSFとして優れているからではない
かと思います。ひたむきで、がむしゃらという主人公の行動原理を登場
人物に代入することによって、1つのテーマを生み出すことに成功した
のではないでしょうか。

眉村さんが後にケイブンシャ文庫等からサラリーマンものを多量に出す
理由もややわかったような気がします。本当にまじめで真摯な方だと
思いました。

では。


眉村作品と上昇志向 投稿者:管理人  投稿日: 2月 6日(火)21時50分43秒

MZTさま
短編集『虹は消えた』(ハヤカワSFシリーズ)もしくは『サロンは終わった』(ハヤカワ文庫)所収の「ぼくの場合」という作品が丁度よい例だと思います。

未来社会テーマのこの作品の主人公は立体色彩論という最先端の技術を教える教師ですが、社会の進歩はこの技術を時代遅れのものにしはじめています。彼は寸暇を惜しんで新知識を吸収していかなければなりません。

「今の仕事にしがみつこうと思えば、やってやれないことはない。報酬が下がるのを承知で、再契約すればいいのだ。/だがそんな選択は、自滅への一本道だということを、ぼくはよく知っている。」

「この程度の努力は、たいていの教員がやっているので、自慢にはならない。むしろこんなことさえやらない人間が、間違いなく脱落するということだ。」

「だれもかれもが、現在の自分の専門で飯を食いながら、同時に、次に到来する時代のための勉強をしているのだ。(・・・)そうしなければ、すぐに落後してしまう。」

主人公はこのような考えの持ち主ですが、幻覚におそわれます。それは目に見えない女体で、そのような行動を取ろうとすればするほど、休みなさい、もう降りなさいとささやきかけます。

「あの感触も、あのささやきも・・・ぼくを妨害しようとしているのだ! それも、ぼくが今の現状に満足しているかぎり、邪魔はしないのだが、旋風に似たいつもの生活、転身のための必死の努力をやろうとすれば、たちまち立ちふさがるのだ。」

結論を言えばその女体は主人公の無意識、抑圧された欲求なのでした。
主人公を診た医師はこう言います。
「本来人間は、そんな気ちがいじみた生活を送るようには出来ていない。(・・・)それでも人々はやる。やっているうちに、いつか幻覚にとりつかれる。代償なんだ。犠牲なんだ。」

主人公はどうしたでしょう?
医師はききます。
「『さて、きみの選択だが』さぐるようにぼくを見た。『きみはどちらを望む』/ぼくの答えはきまっていた。」

もちろん現状に満足する選択はしません。主人公は「世の中の流れからふりおとされないために」、また競争世界に還っていきます。・・・

表面を読むと、眉村さんはそういう競争世界へ身を置くことに批判的に書いているように見えます。
しかし私はそうではないように思われます。
競争から降りた人生――というのも眉村さんには胡散臭いものとして映っているようなのです。

短編集『サロンは終わった』のあとがきで収録の「よじのぼる」という作品について
「初めは主人公があきらめの心境になって帰郷するという、ハッピーエンドじみた物語だったのである。しかし、あとでよく考えると、これはやっぱり嘘ではないかという気がしてきた。」
と、結末を書き換えるのです。
「書きかえると今度はみじめったらしいが、これはこれでいいのだ、ぼく自身ならこうなるであろう」
と述懐されています。

今度のヘテロ読誌に書きましたが、60年から70年代の日本の発展・繁栄は、個人レベルにおいては「出世原理とノルマ制」という競争原理に基礎付けられた法人資本主義によって達成されましたが、もとよりそれは個人における自己疎外を結果します。
しかし競争原理の現場に身を置いた企業戦士は、またそこに自負を見出します。これは逆説ですが現実にそうであるのは、私も経験的に知っています。

眉村さんの主人公はかかるアンビバレンツを生きています。
それは眉村さんの中にも企業戦士を是とする感覚が間違いなくあるからだと思われるのです。いやむしろその感覚は一般より強いのではないでしょうか。

長篇『EXPO87』や初期の近未来テーマ(『サロンは終わった』、『産業士官候補生』)には、そんなアンビバレンツに揺れ動いている眉村さんの思索が読みとれます。ぜひお読み下さい。>MZTさん


というわけでヘテロ読誌1月分が掲載されました。御一読いただければ幸甚です(>と、強引に持っていく(^^;)。


取り急ぎ 投稿者:管理人  投稿日: 2月 5日(月)21時06分59秒

きのうの私の書き込みを読まれた「日課・一日3枚以上」の出版元である真生印刷の担当さまからメールを頂きました。
「日課・一日3枚以上」第5巻は2月中旬発売予定とのことです。みなさま今しばらくお待ち下さいね!
私も、忘れられているのではなくてホッとしました(^^;。
ご連絡どうもありがとうございました。>真生印刷眉村先生ご担当様

MZTさま
おたよりありがとうございました。
せっかくお尋ね下さいましたのに、今日はちょっと時間がありません。ごめんなさい。お返事は明日にさせて下さい。

ということで、今日は失礼いたします。


なるほど 投稿者:MZT  投稿日: 2月 5日(月)10時23分14秒

MZTです。

> なんか上昇志向が異常に強いと思いません?
 
 過去いくつかの短篇を読んで感じたことは、主人公たちが非常に生真面目
であること。それにご指摘の上昇志向が絡んでくるという印象を受けます。
主人公のがむしゃらさがまじめであることに起因しているとすれば、
努力だけでは片付けられない問題もあるんだよ、たまには頭を使ったり、
意識を変えたりしろというメッセージ性が込められているように思います。
ぼくはまだ一部しか作品を読んでいないので、今まで読んできた作品が
どちらかというと現世界からのズレというのを中心とした短篇や長編を
読んでいるということもあって、上記のような印象を受けております。

なので、大熊さんの問いかけに対しては現段階ではこのような印象と
しか書くことができないのですが、もう少し読んだら大熊さんの印象
に近くなるかもしれません。よろしければ、上昇志向を扱った代表作
が多くのった作品をお教え願えませんでしょうか?

では。


男の願望 投稿者:管理人  投稿日: 2月 4日(日)20時04分59秒

Y店長

>やっと「一日3枚」入手しました。
えっ、それって第5巻じゃないですよね?
一応出たら送ってもらえるかたちになっているのですが、4巻から1ヶ月以上もあいているので、もしかしたら忘れられているんじゃないかと少々心配になってきているんですが・・・

>「男好み」の女性がどうも。
偽装夫婦を持ちかける女の子の造型のことでしょう? 
たしかに一種男の願望的女性像といえるかも。しかし男の私から見てもあれは不自然で気になりました。もっとも私自身の願望的女性像は店長もご存じのあのタイプなので(^^;私の感覚はあまりあてになりませんが(^^;ゞ。

>上昇志向」の件。
このネタ振りをしたのは他でもありません。大谷さんの本で、大阪に生まれ終生大阪を離れなかった西鶴が、やはり競争意識が強く上昇志向が高かったことと重ね合わせて、眉村さんも西鶴も根っからの大阪人だったんだなあと言いたかったからなんでした(^^)。

ところで福井出身の近松が、死ぬまで人形浄瑠璃を書き続けたのに対して、西鶴は求められれば嫌とは言わず、何にでも挑戦したということです。この辺も眉村さんに似ているように思います。
大谷さんは書きます。
「近代文学で西鶴の系譜を大阪生まれの作家にたどると、宇野浩二、武田麟太郎、織田作之助らにつながる。みなリアリズムの文学である。奇しくも、三人とも大阪のミナミの人であった。近松の方は、川端康成、梶井基次郎になる。どちらも、あくまでも美を追い求め、死に近しい。しかもキタの生まれであった。」
西成に生まれ、阿倍野に育った眉村さんはまさしくミナミの人です(ちなみに筒井康隆はキタです)。なんか出来すぎですね(^^;。


いつもお世話になります 投稿者:Y  投稿日: 2月 4日(日)14時52分35秒

「ワンダー」店長です。いつも宣伝ありがとうございます。
やっと「一日3枚」入手しました。
「卓ちゃんワールド」大爆発で久々に濃い時間をすごしています(^^;)

「楽園の鏡像」の件。
>偽装夫婦のふたりに虫ずが走った?
  …それはまだいいとして、あくまで「男好み」の女性がどうも。
  パソコンゲームなんかのノリだということは分かっているので
  言うだけ野暮、なのでしょうが。うーむ。
  結局結ばれず去ってゆく女を見送る寅さんのような人(?)が好きです。

「上昇志向」の件。
  おいらもそう思っておりました。でも、最近「真面目はダサい」
  みたいな風潮の中で、すがすがしいなあと思えます。


ご来訪感謝 投稿者:管理人  投稿日: 2月 4日(日)12時05分38秒

土田さま
このような草深い田舎にようこそお尋ねくださいました(^^)。
ここ数日は珍しくお客様があるのですが、大体はモノローグ状態で、それはそれで悪くないとはいえ、土田さまの「打てば響く」反応は本当に励みになります。これからも色々教えて下さい。

>思えば「謎の転校生」とか小学校時代にNHKテレビで見たのも、初期のSF体験のひとつでした
私もそうでした。当時盛行したこれらのドラマがSF盛期の基層ファン層を創出したことは間違いないと思います。
今教育テレビで「まぼろしのペンフレンド」をやっています。これが導線となって往時の繁栄がよみがえってほしいと願っているのですが・・・さて(^^;。

>読む旬というのはあるのかもしれません
>インサイダーSFはいい加減サラリーマン生活をやった今かもしれない!
私も『消滅の光輪』を40を過ぎてから読みかえしたのですが、それは正解でした。若いときは読み過ごしていた行間がひしひしと身にしみて、鏡花賞も宜なるかなと認識を改めた次第です。

またお気が向いたらお越し下さいね。今日(きのう?)はありがとうございました。


ご挨拶 投稿者:土田裕之  投稿日: 2月 3日(土)23時35分35秒

こんばんわ。
初めて書き込みいたします。
拙HPにおいでくださりありがとうございました。
前からこちらのHPは存じ上げておりましたが、もう何年も眉村卓さんの本は読んでおらず
書き込みもできませんでした。

思えば「謎の転校生」とか小学校時代にNHKテレビで見たのも、初期のSF体験のひとつでした。
また近々読みましたら書き込みさせていただきます。

昔読んだものが今読むと違う感想になるのはままあることですね。
良い思い出が「なあんだ」ということもあれば、いまいちと思っていたのが
面白かったり、個人差はあるのでしょうが、読む旬というのはあるのかもしれません。

インサイダーSFはいい加減サラリーマン生活をやった今かもしれない!

http://www.02.246.ne.jp/~pooh


上昇志向 投稿者:管理人  投稿日: 2月 3日(土)22時21分48秒

MZTさま
眉村サポーターの私がいうのも何ですが、眉村さんの主人公って、なんか上昇志向が異常に強いと思いません? なんでそこまで頑張る?と鼻白むことがあります。そういう態度を否定しながら、実は肯定してるんじゃないかと思うことがあります。

また感想お寄せ下さいね。ありがとうございました。


出張の帰途 投稿者:MZT  投稿日: 2月 2日(金)22時34分19秒

MZTです。

 ぼくも眉村卓さんの『出張の帰途』(祥伝社文庫)を読了しました。
全体的に不条理系&まじめ一途の社員の自己主張がテーマになっていて
愉しく読むことができました。「ぺらぺらの名刺」が印象的で、『エペペ』
を彷彿させる奇妙さがありました。「酔えば空白」は『ぬばたまの…』
に通づるテーマだと思いますし。

 普通に生活していた人々が自分の驕りや思いこみから日常から乖離して
しまい、ズレを感じてしまうという面白さと「その一言」をいう勇気
を与えてくれるという意味では、すごくいい短篇集だったと思います。

 また他の眉村さんの作品を読みましたら、また書きこみに来ます。
では。


Yさんのとこ更新 投稿者:管理人  投稿日: 2月 2日(金)22時32分06秒

Yさんの眉村卓ワンダー・ティー・ルームが更新されています。読書月記カレントドライブが必見です。「黄昏のカーニバル」はアレクすてさん好みなのかも。
「M.G.H楽園の鏡像」>私はだめでした。冒頭を読んで即、私は客扱いされてない作品だな
ウーム???どのあたりがお気に召さなかったのかな。偽装夫婦のふたりに虫ずが走った?>Yさま


五右衛門風呂 投稿者:管理人  投稿日: 2月 2日(金)20時11分52秒

河本さま
ご無沙汰しています。あちらのサイトで反応しようと思っているのですが、なかなか出来なくて(^^;

私の実家(貝塚市)も五右衛門風呂でした。直径90センチくらい(たぶん)の木製の桶の底が鉄製の釜になっていて、浮き蓋を踏んで入りました。
小さいときのことで、祖母が風呂を沸かすのを横で見ていました。ときどき炊き口の扉?をあけて切れ端をほうり込んだりしました。

東海道中膝栗毛によれば、これは主に関西式の風呂で江戸の人には馴染みがなかったようです。
喜多八がこの風呂の入り方が分からず、下駄を履いて入った有名な場面を思い出しました(^^)。
なお、全体が鉄製のは長州風呂といい、厳密には五右衛門風呂とは違うそうです。五右衛門に使われたのはどっちだったんでしょうねえ。

>本多正一さんって、ホンダ彗星の本多氏のことですか?
たぶん違うと思います(^^;ゞ。
こちらの本多さんは、中井英夫の晩年に助手(というよりもパートナー)として、晩年の困窮のなか前後も分からず酒を浴び続ける中井英夫の面倒を、中井が亡くなるまで見続けた方で、先日ご紹介した著書は、その中井と著者の、すさまじい(としか言い様のない)交流(葛藤)を写真と文章で活写した記録です。
すばらしいです。河本さんもよかったらお買い求め下さい。両方併読をお勧めしますが、どっちかを先に読むとしたら、『プラネタリウムにて 中井英夫に』です。

ところで、幻想数学短編集(^^)『第4次元の小説』(小学館)を読み始めています。今並行して何冊か読んでいるので読了は先になりそうですが、そのうち感想を書きますね(^^;。
  


たき火 投稿者:河本  投稿日: 2月 2日(金)18時13分06秒

 あちらのサイトの話をこちらでします。
 たき火で思い出したのですが、小学校の6年間を過ごした大阪の鴫野の家には、薪で炊く方式の五右衛門風呂がありました。いつの時代の話じゃ。(^^;)
 僕は風呂係だったので、薪を斧で小さく割り、種火から勢いよく薪が燃えるまで焚き口で見守っていたのを覚えています。薪屋さんなどというものがあったのかなあ。
 
 本多正一さんって、ホンダ彗星の本多氏のことですか?天文ファンなのでこの名は知っています。


再読 投稿者:管理人  投稿日: 2月 1日(木)20時36分43秒

蜆川さま

>眉村さんのそれは、ローキックかボデーブローのように次第にしかし確実に効いてくる感がしました。
>十代で読むのと、四十代でよむのとでは、その応え方が違います。

たしかに眉村作品は、読んだときの年齢によって読後感は異なるものになりますね。
言い換えれば、眉村作品は再読に耐えると言うことで、若いとき読んだものでも再読すれば、年齢相応の新たな感慨があります。
これは眉村SFの懐の深さであり、文学として自立している証左でしょう。
若いときに『消滅の光輪』を読んだ人も、ぜひ40になったら読み返して欲しいですね。泉鏡花賞を取れた理由が分かるはずです。


「出張の帰途」読みました 投稿者:蜆川 漁人  投稿日: 2月 1日(木)01時12分03秒

久しぶりに眉村氏の本を読みました。ジャンルとしてサスペンス小説とされてあるのが解せない気がしますが、眉村さんらしいブラックな味わいの掌編集でした。この手の辛口の社会風刺は、星 新一以来の日本SFのお家芸ですが、その伝統を守り続けておられるのは眉村さんくらいではないでしょうか。筒井さんのその味わいは故A.フグの踵落しのようとすれば、眉村さんのそれは、ローキックかボデーブローのように次第にしかし確実に効いてくる感がしました。
十代で読むのと、四十代でよむのとでは、その応え方が違います。
また旧作でも面白いものをどんどん紹介してください。


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