お久しぶりです。 眉村卓の小説の中で一番好きな『なぞの転校生』の感想を書きたいと思います。 僕が読んだのは青い鳥文庫のバージョンです。知り合いの先生に勧められて読みました。 読んだ感想ですが、これは大人向けの児童書といっても過言ではないと思いました。 内容は、核戦争や科学の進歩における功罪など児童書にしては重いテーマを扱っているなと思いました。それに、この物語には、完璧におかしなことを言う人間(例えば科学は力だとか科学は完全だとか)はいなく岩田君や次元放浪民などの登場人物の主張していることにもそれぞれ説得力があるなと思いました。山沢君が、岩田君に「科学なしに生きていけるのか?君が使っていたレーザーだって科学の産物ではないか」と言われるシーンがありますが このあたりは、科学は使い方を間違うと恐ろしいことになるとわかっていて嫌悪しながらも、科学なしでは生きられない人間の弱さを表していると思います。 屋上での別れの際に岩田君はこう言います「理想の世界なんてあるのでしょうか?住む人の気持ちしだいでどうにでもなるのではないでしょうか、そう思わないとこの世界にしか住めない僕達は救われません。自由に世界を移動できるから選り好みしてしまうのではないでしょうか?」この部分を読んだ時、僕は、心を打たれました。深いなと思いました。 それから、ラストの山沢君のお父さんの台詞。これは、人生観が変わるといえば大げさですがとても心を打たれました。この台詞が全てを物語っていると思いました。 この物語が書かれたのは40年ほど前ですが2007年の現在読んでも全く色あせないです。この物語のメッセージは今読んでも十分伝わると思います。この物語は、子供向けにかかれてますが、子供のみならず大人の方にも(今の混沌とした日本じゃ、むしろ大人の方こそ)読んで欲しいです。
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