平谷さん
とてもよく判ります。ある意味ロボットなんですよね。小説の巻末解説も、ロボットが書いたのはちっとも面白くありません。
さて――
たまたま『蒸気駆動の少年』貸して頂けることになり、着手。予定ではバリイ・N・マルツバーグ『アポロの彼方』を読むつもりだったのだが、後回しになります。申し訳ない(誰に向かって言うでもなく(^^;)
どうせ筒井康隆の亜流だろ、との偏見があり、スルーしていたのですが、縁あって読んでみたら、予想外に面白いではありませんか。自らの不明を恥じるばかり。確かに狙いは筒井のそれと重なる面はあります。例えば巻頭の「古カスタードの秘密」は、もろ筒井が60年代に量産したナンセンス・スパイものにシチュエーションは近似しています。ストーリーテリングも格段に筒井の方が上ですが、にもかかわらず筒井とは一味違う味わいがあってけっしてそれだけではないオリジナリティがあります。
「超越のサンドイッチ」はどうってことないブラックなオチ小説ですが、読後そこはかとない何かが漂ってくる。
「ベストセラー」は跳ばして(後で読む)、
「アイオア州ミルグローブの詩人たち」。これは間然としない傑作。日本の純文学雑誌に載ってもおかしくありません(〈海〉が潰れてなかったらなあ)。
「最後のクジラバーガー」は「わが良き狼」系。ラストが泣かせます。
「ピストン式」は、かんべむさしへのオマージュ。なわけがありませんね。この邦題を思いついた翻訳者の遊び心が楽しい。巨大な一物を持つ怪奇クルマ男がそこいらに駐車されている車を当るを幸い犯しまくるカーセックス小説! クルマ男の射精をもろに受け、その反動で衛星軌道に吹っ飛ばされます(^^;
以下次回。
なお本書の「解説」は、主体的な解説で、解説者自身はどう読んだのか、あるいは解説者自身は著者をどのように認識しているのか、がよく分かってとても参考になります。
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