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T・M・ディッシュが亡くなったそうです。享年68才。→らっぱ亭さんによるダトロワの追悼文の抄訳
オールディスとともにわが最愛・偏愛のSF作家でした。オールディスのシニシズムをさらに精密にしたような作風で、『334』がマイベストです。
逆にいえばオールディスの磊落さには欠けていて、読者層が下に広がらなかった。
日本ではSF読者の年齢が上がって、ようやくその面白さが浸透し始めていました(たぶん世界的にも同じような潮流があったのでは)。その意味でとても残念です。
それにしても自殺とは……。
引き金となったことは追悼文のとおりですが、背中を押した真の動機を知りたいです。書けなくなった? 書く場所がなくなった?
上記の理由で読者層が狭く、まず出版社から撥ねられるポジションの作家ではあったでしょう。『アジアの岸辺』収録の「本を読んだ男」や「第一回パフォーマンス芸術祭、於スローターロック戦場跡」を読むと、ディッシュの状況が何となくわかって、「ああディッシュ、売れてないんだな」と実感したことを思い出した。あるいは亡くなったパートナーの収入に依存していた?(たとえば本多さんはパートナーではなく助手でしたが、もし本多さんがあまりの勝手わがままに愛想をつかせてしまったとしたら、中井はどうだったかと考えます。もちろん実際はそんなことは起こらなかったわけですが)
などといろいろ浮かんできます。しかしあれやこれや忖度しても詮ないことに違いはありません。ただ空しいばかり。がっかりでがっくりです。冥福を祈るような気持ちにもなれません。
Tom, get your plane right on time
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