9)「透明人間」(45冬)
出稼ぎに行った先のデトロイトでカームジンは、奇遇にも「あの世を信じない男」で大富豪にくっついてアメリカへ渡った幽霊ヘンリーと再び出遭う(笑)。
カームジンによれば(というかヘンリーによればかも)、地獄の沙汰も金次第というのは本当で、たとえば莫大な財産が未だ発見されていないアッティラ大王はその財産を大いに活用して羽振りがいいんだそうです(^^; というような博覧強記の小ネタもカームジンものの面白さを下支えしているんですよね。
それはさておき、そういう次第で、枯れるどころかあの世に行ってもなお娑婆っ気たっぷりなヘンリー、おそらく大富豪に取り入って(重役に抜擢されたらしい)そこそこ溜め込んでいたのを元手にしたんでしょう、「幽霊仲間と積極的に交際」にこれつとめた結果、「1446年に生きながら火あぶりにされたミスター・サムソン・トリスメギストスという魔法使い」から「姿を見えなくする」秘術なんてのを伝授されたなどと、自慢げにちょこっと洩らしたものだから、それをカームジン聞き逃すはずがなく、早速儲けの25パーセントで、今回の仕事である億万長者サックバットを監禁状態から救出する作戦の仲間に引き入れちゃう(^^;
ちなみにサムソン・トリスメギストスは寡聞にして知りませんが、トリスメギストスといえば大錬金術師ヘルメス・トリスメギストスがいますね。
さてここから億万長者サックバットとヘンリーとカームジンの、二転三転する化かし合い合戦。最後に笑ったのは?……
――という話を聞かされたカーシュ、カームジンの顔をじっと見て、「今の話を信じろと?」
「当然だろう、本当にあった話なんだから」と、白々しく顔をしかめるカームジンなのでした(^^ゞ
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