某所で映画制作が進行しており(そのうちに告知できるかも)、関係するSNS内での話題の中で、過去の時代を舞台にしたときの小道具には細心の注意を払わなければ、あとで大変な目に遭いかねない、という話が出ていて、そういえば「泥の河」でそういう事例があったなあ、と思い出しました。→
http://kuma-gor.hp.infoseek.co.jp/kakolog/herikonia-log0501.htm#doronokawa
過去を舞台にした映像作品ではこういう時代考証はとても大事で、作品評価にもかかわってくる場合があるのでしょうね。
と書いていて、いまひとつの例を思い出した。
下の動画は以前に紹介したものですが、その後問題があることに気づきました(^^;
まずはご覧下さい。
↓
http://www.youtube.com/watch?v=BWiVDB6tYH4&feature=related&fmt=18
――どうでしょうか、気がつかれたでしょうか?
植民地朝鮮時代に「色彩のブルース」が歌われるはずがないのはそのとおりなんですが、それは別にして(なぜなら製作者は当然分かってやっている筈だから)、重大な考証ミスがあるんです。
バックバンドのギターを見てください。エレキギターです。戦前にエレキギターがあったでしょうか?
不審に思って調べてみると、たしかに1935年にギブソンが世界初のエレキギターES150を発売していました(意外に早い)。しかしこれはいわばアコースティックギターにコードを取り付けたもの。現物はこれ→http://ja.wikizic.org/Gibson-ES-150/video-V5BMDbYVlvg.htm
胴の厚みを確認してください。
しかし映画の方のギターは違いますよね。胴がぺしゃんこのいわゆる一般的なエレキギターの形状です。
ところが、このようなタイプ(ソリッドギターというらしい)は、フェンダーのブロードキャスターというのが最初で、実に戦後の1948年発売とのこと(ここまではhttp://www2.tokai.or.jp/nex/history/electric/history.htmによる)。
つまりこの映画の時代にはありえないギターで演奏しているというわけです。
この映画、植民地朝鮮の映像が見れそうで、ちょっと期待していたんですが、たまたまこういうミスに気づいてしまうと、案外考証を手抜きした映画なのかも、と思ってしまいますよね。日本に輸入されないのもそれが原因なのかも、とか。映像作品はツライですね。
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