を観た。1962年増村保造監督作品。梶山季之原作、田宮二郎主演。
<黒シリーズ>第1作とのことで、この作品も産業スパイものです。「黒の凶器」では家電メーカーが舞台でしたが、本篇は自動車メーカーの新車発売をめぐる話、というわけで、まさに高度成長、大衆社会到来前夜の時代性が明瞭に出ています。
産業スパイとは言い丈、手口が非常に素人っぽく(というかマンガっぽく)、こんなんでライバル社の機密情報が盗めるんかいな、とその薄っぺらさを笑いつつ観ていたのでしたが、おそらく当時というのは、産業スパイという存在がようやく世間に知られはじめ、ゆえに原作が書かれもした訳でしょうから、一種原初形態が描かれているともいえ、むしろこのような杜撰なのが実は現実だったのかも知れないなあ、と思い直しました。
田宮二郎も(第1作だからかもしれませんが)、「黒の凶器」に比べればそんなに存在感がなく、可もなく不可もない演技で(ただしラストの回心はいかにも唐突)、むしろ高松英郎が事実上の主役だったような。
と、最初は欠点が目に付いていたのですが、話が佳境に入るとさすがに面白く熱心に見てしまいました(^^;
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