ヘリコニア過去ログ1202

とつぜんMIDI

 投稿者:管理人  投稿日:2012年 2月29日(水)22時03分13秒
   

Re: 出席よろしくお願いします

 投稿者:管理人  投稿日:2012年 2月28日(火)20時53分53秒
  > No.3460[元記事へ]

 段野さん

>出席よろしくお願いします
 了解しました。早速幹事さんに連絡、予約一名追加してもらいました〜(^^)
 当日、楽しみにしております!
 
 

出席よろしくお願いします

 投稿者:段野のり子メール  投稿日:2012年 2月28日(火)17時06分17秒
  お手数かけますがよろしくお願いします。
 

お手数かけます

 投稿者:段野のり子メール  投稿日:2012年 2月28日(火)16時38分37秒
  苦節何年(笑)ようやくお邪魔することになりました。これからもよろしくお願いします。メールの件、ありがとうございました。微力ですが、お手伝いできることがありましたら、何なりと(できる限り)お申し付けください。
 

段野さん、高井さん

 投稿者:管理人  投稿日:2012年 2月27日(月)20時06分4秒
  > No.3456[元記事へ]

 段野さん
 お久しぶりです。大熊です。遂にここを見つけられたのですね(笑)。ときどき眉村さん情報を流していますので、たまにご来訪いだけたらと思います。
 50周年企画は、まだ具体的なものは決まっていません。ただ腹案(私案)はあり、近々に「囲む会」があるのですが(何年か前、段野さんもおいで下さいましたね)、そこでご提案させていただく所存です。実は眉村さんにはちょろっとお話ししていまして、実現可能かどうか根回ししてもらっているところで、つまりまだ可能かどうかもさだかではない提案なんですが(笑)。
 そんなこんなも含めて、いろいろご助力いただければ幸甚です。そうだ、段野さんのメールアドレスに、囲む会の詳細をメールしておきますね。近々すぎて調整が難しいかも知れませんが、よろしくご出席いただきまして、段野さんのお考えもお聞き出来ればと思います。よろしくお願いします。


> No.3457[元記事へ]

 高井さん
 ご高評賜り感謝感謝です(^^;。

>私の評価は――中学生が初めて書いた作品だとしたら満点。
 おお! 実はこのショートショート、発表は72年(高一)ですが、書き上げられたのは前年71年(中三)のはずです(Mとは小中高同じ学校に通っていたのです(^^;)。新潮文庫版『ボッコちゃん』が71年5月刊ですから、間違いありません(「ホシヅル図書館」で確認)。多分、5月か6月ころ。

 あと、71、72年あたりでは私自身、ショートショートをそんなに読んでなく(チャチャヤングショートショートに投稿し始めたのが中二、70年の暮れくらいからです)、一般的に見て「パターンとしてはさほど珍しいものではない」としても、私自身ははじめて遭遇したパターンだったということが、衝撃的に感じた理由のひとつではあるでしょうね。
 ただオチの前に伏線がきちんとあって、まるで考えぬいたショートショートのようです(実は全く考えずに出来上がったもの)。ショートショートはこのように作ればいい、とはいえるように思います(ショートショートが「分かっている」と言い換えてもいいでしょう)。少なくとも異形コレクションの何人かのライターには、参考にしなさい、と自信をもってすすめられますね(>おい)(^^;

 高井さん、素人の作品なのに、きちんとお読み下さり、本当にありがとうございました! Mとは、今はもう年賀状のやり取りだけなので、来年の年賀状に、高井信先生が満点をくれたぞ、と書いてやりますね(笑)

 追記。あ、書き忘れている。江坂先生の感想、ぜひお聞きしたいです。よろしくお願いいたしますm(__)m
 

Re: 友人のショートショート

 投稿者:高井 信  投稿日:2012年 2月27日(月)17時30分46秒
  > No.3455[元記事へ]

 読ませていただきました。
 管理人さんも書かれていますように、途中までは「おーい でてこーい」を想起させる展開。で、オチが待っています。
 脱力オチですね。こういうの、好きです。ただ、パターンとしてはさほど珍しいものではないですよ。私もこのパターンのオチ、いくつか書いているような……。
 私の評価は――中学生が初めて書いた作品だとしたら満点。それを考慮しなければ、水準より少し上。
 以上、管理人さんの同級生、つまり私より年上の方の書いた作品に対して上から目線で、すみません。

 こういうパターンのオチで印象に残っているのは――というか、江坂遊さんが強力に推すので、ついつい強く意識してしまっているのですが――『ソビエトの昔ばなし』旺文社文庫(1977年刊)に収録されている「客と帽子屋」です。最相葉月監修『星新一 空想公房へようこそ』新潮社(2007年刊)でも、強烈に勧め、作品をまるまる引用しています(78ページ)。
 確かに面白いけれど、そこまで強く推すか!? と私は思ってしまうのですが……(笑)。
 江坂さんがご友人のショートショートをどう読むか、感想を聞いてみたい気がします。
 

はじめまして

 投稿者:段野のり子メール  投稿日:2012年 2月27日(月)16時44分35秒
  ご存じのかたはおられると思いますが、昔「銀座会」という、眉村さんを囲む会がありまして、その連絡係をしていたものです。これからちょこちょこと見させてもらうかもしれません。そのときはよろしくお願いいたします。(50周年の件もあわせてよろしくお願いいたします)  

友人のショートショート

 投稿者:管理人  投稿日:2012年 2月26日(日)22時39分52秒
   昔の書類を整理していていました。ガリ刷り(ふつうの鉄筆で切ったのや、のちにボールペン原紙でも作った)の他、青焼きコピーや、当時は珍しかったコピー機で作ったのとか、いろいろ試みています。初期のコピーは、どこで、どんな風にコピーしたのか、完全に忘れてしまいましたけれど感光紙だったんですね、もはや判読不可。青焼きはまだ薄く読むことはできるが、時間の問題。ガリ刷りのは、そもそも粗悪なわら半紙ですから相当痛んでおり、ホッチキスは半分がたとれています。
 一瞬、これらをどう保存すべきかと、その保存方法に頭を巡らせかけたのですが(たとえばタイプするなど)、考えてみれば、読む人間(つまり私)が遠からず、あと20年もすれば消えてしまっているか、消えずとも読む能力を失ってしまっているわけで、それは無駄な努力やなあ、と気づいた。
 だいたい保存する価値があるのか。私の作品は当然そんな価値はない。他の寄稿者も、はっきりいってどっこいどっこい。ノミの背比べですわ。そんなのは、私と一緒に消えてしまうが世のため人のため、というべきであろう(この辺眉村調(^^;)。
 などぼんやり考えながら、高校の、SFサークルの機関誌をパラパラ読んでいたのですが、あ、この作品は残す価値があるな、というのを思い出しました。もちろん私の作品ではありません。
 同級生のY・Mの作品です。↓(但し横書きを考慮し適宜改行)。


   コーヒーカップ ―――――― Y ・ M

 N氏は、いつものように三時のコーヒーを飲むため、コーヒーカップにコーヒーを注いだ。
 するとどうだろう。いくら注いでも一杯にはならないのだ。
 底に穴があいて漏れているのではない。
 不思議なことに、コーヒーがカップの中に入ると消えてしまうのだ。

 「これは異次元への入り口かもしれない」

 そうN氏は考えた。
 そして、バケツに水を一杯入れてきてカップに流し込んだ。
 やはりコーヒーの時と同じように水は消えた。

 「やっぱりこれは異次元への入り口なんだ」

 このカップに、N氏はすこぶる興味をひかれた。
 テーブルの上にあったタバコをカップに入れて見た。
 今度はコーヒーや水のようにすぐには消えなかった。
 カップにタバコが入ると、お化けのようにだんだんと透明になっていく。
 そして数秒後に完全に消えた。
 次に庭にあった卵ぐらいの大きさの石を持ってきた。
 それをカップに落とし込んだ。

 「ガチャーン!」

 という音と共にコーヒーカップは粉々に割れた。

                     「磁場創刊号」(1972年発行)所収 *3号(73)にも再録


 ショートショートって、体験とか読書を積み重ねたからって、必ずしも良い作品が生まれるわけでもないんですよね。中学生がはじめて書いた作品でも、とんでもない傑作が生まれたりする形式なのです。この作品がまさにそれ。類似のアイデアはありますが(「おーい、でてこい」とか)、このオチは見たことがありません(ショートショートをそんなに読んでいるわけではないので、ひょっとしたらあるのかも知れませんが、私は未読のはず)。オチを別にしても、この叙述の進め方(プロットの構成)は、現在の目から見てもショートショートの見本といって過言ではありません。そんな話を、この男は『ボッコちゃん』を貸したら、突然書いてきたのです。だから彼の第一作。これを読まされたときは、シットさえ覚えましたですよ(^^ゞ
 

「プロテクター」補足と「ピース・オブ・ケーキとトゥワイス・トールド・テールズ」着手

 投稿者:管理人  投稿日:2012年 2月25日(土)11時13分54秒
  > No.3453[元記事へ]

 承前、ウラもとらずに記憶のみで書きますが、伊藤典夫が、スキャナーだったか何だったかで、ニーヴンについて「遅れてきたハードSF作家」だとして、もう十年はやく登場していたら、クラーク等と並ぶ黄金期の大家だったのに、みたいなことを書いていたように憶えています(まあ、私の記憶は怪しいものですが)。もちろん70年代の話です。当時はニーヴンもまだ中堅作家だったわけです。
 しかし私の感じでは、遅れてきたハードSF作家というよりも、遅れてきたスペオペ作家といったほうが、よりわたし的にはしっくりします。『プロテクター』を読んで、改めてそう思いました。
 クラークやハインラインは、前代のスペオペとは画然と違っていました。はっきりと違っていました。スマートでモダン。ところがニーヴンは、黄金期の作家たちより若い世代なのに、小説世界はむしろスペオペに回帰しているように感じられます(念のため言っておきますが、私は古色蒼然たるスペオペが大好きです)。
 もとより背景設定はきっちり現代ハードSFなんですよ。でもそれらを用いて構築された小説世界は、なぜか往年のスペオペの世界なんですね。面白いですねえ。やはりエイリアンの造形がスペオペっぽいんですかねえ。ニーヴンの場合、天文物理はハードなのに、宇宙人に関しては生物学的根拠は全く考慮されてないんですよね。
 現代の宇宙ハードSFの世界に、スペオペ時代のエイリアンを導入して作られた、ある意味かなり奇妙な小説といってもよいのでは?(ニーヴンを継いでいくのがブリンのような気がするのですが、ブリンはほとんど読んでないので、その比較は他日。って他日のままかも(^^;)

 金井美恵子『ピース・オブ・ケーキとトゥワイス・トールド・テールズ』に着手。冒頭の「ピース・オブ・ケーキ」を三回読み返すも謎。で、うーん・・とうなっていたところ、本書は長篇で、この話も長篇のワン・ピースであることに遅ればせながら思い至り、ようやく次の「トゥワイス・トールド・テールズ」に進んだのであった。で、こっちの話がまたその中にトゥワイス・トールド・テールズを含んでおり、それが素晴らしい幻想掌篇なのです。しかもそれがシームレスに重構造なんですよね。凝ってるなあ。そもそも当代一流の技倆の使い手が、その限りを盡したアクロバットなんですから、一読でわかるはずがありません。とりあえず一回最後まで辿り着こう。読み進んでいけば、「砂岩段丘」という謎めいた言葉も(その土地も)分かってくるのかな(^^;
 

「プロテクター」読了

 投稿者:管理人  投稿日:2012年 2月23日(木)20時43分31秒
   ラリイ・ニーヴン『プロテクター』中上守訳(ハヤカワ文庫79、原書73)読了。

 うーむ。人類発生のアイデアとか、第二部の主人公が、なぜ人類最初のプロテクターの相棒に選ばれたのか、とか、よくできたSF(スペースオペラ)であるとは思うのですが、いかんせん訳文がぶちこわしちゃっています。
 で、検索してみました。やはりありました→http://www2u.biglobe.ne.jp/~elefante/protector001.htm
 このHPで検証された文章、すべて私にも意味不明で「???」となったところでした。ところが、上記HP筆者の代替案で読むと、これらが実にすっきり明瞭な、きっちり意味を伝える文章だったことが分かります。

 とりわけ、最後の例文の、亜光速宇宙船から見える外の星々の描写なんて、おそらくニーヴンにしてみれば、ドヤ顔で書いた、自信満々の描写だったはず(代替案を読めば幻想的なとても美しい描写であることが分かりますよね)。それがもう、とんでもないグジャグジャの意味不明文と化してしまっています。これはもはや犯罪というべき。
 この一文において、HPのかたは、訳者のドップラー効果の知識を指摘したわけですが、ひょっとして著者のほうも、少し問題があるのではないか。というのはこの描写ではスターボウが前から後ろに流れていくように読めます。しかし事実は進行方向にギュッと凝集してみえるのではないでしょうか。と思って調べてみたところ、本書は73年の出版ですが、雑誌初出は67年なのでした。そうか。つまりかの名著、石原藤夫『SF相対論入門』が出たのが1971年で、私たちはこの本で相対論的効果の奇妙なふるまいについての知識を得、驚嘆させられたのでしたが、「プロテクター」執筆時点では未刊。ニーヴンさんが読んでいるはずがないのでした。これはいたし方ありませんな〜(>違)(^^;

 さて、このHPの指摘以外にも、もっと単純な問題点があります。それは訳語の選択で、これがかなり杜撰。読んでいるとボディブローのように効いてきます。
 たとえば270頁の「体育室では、働きすぎて疲労困憊してしまったし」は、無重力下(自由落下)での筋力維持のため、アスレチックルームでトレーニングしすぎたことを言っているのですが、「働きすぎ」というのはどう考えても違いますよね。おそらく原文は「overwork」だったんでしょうけれど……。277頁「地域天文学」も、SF読者的には違和感ありあり。regionかareaか分かりませんが、この場合、他恒星系の天文定数の意味ですから、「星域天文学」とか「宙域天文学」とか、そういった造語にするべきでしょう。単に英和辞典の単語の一番頭の訳だけつなぎ合わせるのだったら、中学生の英文解釈と変わりません。あまりにも芸のなさすぎる訳。かんながけを省略してしまったとしか考えられません。などと、ひどいことを言ってますが、先回ふれたように納期の詰まった請負仕事だったのかも。そうなら重版の際に手を入れるべきです(私の所持本は92年10刷)。それをしない出版社も出版社ですが、一体どこやねん、と思ったら、あ、あそこでしたか。そら、しょーがおまへんな(>あかんがな)。
 

「プロテクター」読み中

 投稿者:管理人  投稿日:2012年 2月20日(月)23時46分45秒
   160頁まで。范文雀。     トンデモ
 おお、山田正紀ばりの、人類発生の衝撃的な事実がが!!(笑)
 中上守にしては訳が杜撰。ところどころ何が書いてあるのか判りません。急かされたのか? 10刷なのに明らかなミスが直ってないのは、この出版社だから仕方ないのですよね(ーー;
 

Re: ありがとうございます

 投稿者:管理人  投稿日:2012年 2月20日(月)00時53分24秒
  > No.3450[元記事へ]

 平谷さん

>SF的な発想や手法は用いています
 そうそう、そうなんですよ! 『義経になった男』は、たんにSF作家が書いた歴史小説ではなく、SF作家でなければ書けない歴史小説であったと思います。筒井さんのいう拡散したSFとして傑作であるといえるのではないでしょうか(笑)。次の作品も楽しみにしております!
 話は飛びますが、今日の放送で、ラクラ編集長+平谷さんVSタカハシ氏という構図になっていましたが、私はどうも(これまでの放送での発言でうっすらと感じていたのですが)タカハシ氏の思想信条行動理念に共感するところが多いようであります(^^ゞ

 ラリイ・ニーヴン『プロテクター』に着手。
 『虚無回廊』を読んでいたら、なぜかニーヴンが想起されてきて仕方がなかったので(笑)。超光速航法は発見されておらず、バサードラムジェットで亜光速で飛んでくる(本書の場合長命族、虚無回廊はAEだから可能)ことや、宇宙人が、極端に変わっているとはいえ人間的な思考者である点は、似ていますね。まだ60頁ですが……。
 

ありがとうございます

 投稿者:平谷美樹  投稿日:2012年 2月19日(日)23時23分30秒
  拙著への投票、ありがとうございます。
【義経になった男】がSFであるかどうかはなんでございますが(笑)
SF的な発想や手法は用いています。
 

SFベスト2011投票

 投稿者:管理人  投稿日:2012年 2月18日(土)23時44分2秒
   2月も、もう2週間を切ってしまい、昨年刊本消化も、あと何冊か興味あるのが残っているのですが、読書時間を勘案するに、よく読めて1冊、下手したら読了前に月が変わってしまいそう、というわけで、あきらめて森下さん主催のSFベスト2011に、昨日投票してしまいました。
 以下引用(順不同です)――

 まだ何冊か気になるのを残しているのですが、いろいろ忙しくなりそうで、読み切れるかどうか判りません。あきらめて投票します。

 ○眉村卓『しょーもない、コキ』(出版芸術社)は、久しぶりの純然たるエッセイ集で、古希をコキと書きあらわすところなど、いかにも著者らしく飄々としていて楽しみました。

 ○平谷美樹『義経になった男(全四巻)』(ハルキ文庫)は、影武者というアイデアと北行伝説を巧みに撚りあわせ、全四冊巻措く能わずの面白さでした。蝦夷史観というべき独自の視点から奥州藤原氏と平泉の意義を語り直し、通説に真っ向から挑んだ気宇壮大な歴史小説!

 ○R・A・ラファティ『翼の贈りもの』井上央訳(青心社)は、従来のホラ吹きラファティを転倒させる作品が並べられ、目を洗われる思いがしました。これはとてもよいアンソロジー。新たなラファティ観を提示した編訳者の見識に敬意を評します。

 ○高野史緒『時間はだれも待ってくれない』(東京創元社)は、21世紀東欧SF・ファンタスチカ傑作集。近頃はグローバル化の余波でしょうか、以前に比べても英米作家偏重度がさらに上がっているような気がします。本書はほぼ30年ぶりの東欧SFアンソロジー。英米SFとはずいぶん風合いが違っていて面白かった。意外と70年代日本SFに近い印象。これはあるいはファンタスチカと規定した編者の選択基準によるのかもしれません。それもまた主体的でよし。編者と出版社の勇気に拍手。

 ○クラーク・アシュトン・スミス『アヴェロワーニュ妖魅浪漫譚』大瀧啓裕訳(創元推理文庫)は、選集の第三巻。舞台が中世(から近世)フランスの架空の一地方という設定が効いて、従来の神話的散文詩的きらびやかさは保持しつつも、いかにもウィアードテールズの挿絵っぽい淫猥な官能的な要素が前面に出た作品集になっています。ところが恐怖と官能を描いても、やはりそれが耽美的詩情となってしまうところが、CAスミスのCAスミスたるところでしょうか。あとがきに次回予告がなかったのですが、もっと続けてほしい選集です。

 △次点として渡辺温『アンドロギュノスの裔』(創元推理文庫)を挙げておきます。この大正モダニズムの申し子の、まさに時代を体現した鮮烈な輝き、一瞬の閃光が一冊にまとまって読めたのはありがたかった。出版社に感謝です。


 ※あれ、なぜかGoogleChromeでは反映されていませんね(youtubeとは相性がいいのですが)。InternerExplorerでは見えています。それから現時点、私を含めて投票者はまだ二人です。どんどん投票しましょう!
 

「自殺卵」更新

 投稿者:管理人  投稿日:2012年 2月18日(土)00時14分17秒
   眉村さんの新作ウェブ小説「自殺卵」ですが、眉村さんより数箇所改稿依頼があり、ついでに私のタイプミス(>まだあったんです(^^;)も併せて直しました。また表紙も眉村さん直筆の題字に変更して、格段に見映えもよくなりました。ご照覧あれ。

 この頃むしょうに紙の同人誌を作りたくて、ついに眉村さんの「自殺卵」を製本しちゃいました〜(^^;

 

 今度の囲む会で配布しますね(笑)。
 

「アヴェロワーニュ妖魅浪漫譚」読了

 投稿者:管理人  投稿日:2012年 2月17日(金)00時43分47秒
   「分裂症の造物主」「彼方から狩り立てるもの」「塵埃を踏み歩くもの」を読み、『アヴェロワーニュ妖魅浪漫譚』大瀧啓裕訳(創元推理文庫11)読了。

 「分裂症の造物主」は東谷真知子訳で既読。これはまた洒落たショートショートです。なぜ世界には善と悪、神と悪魔があるのか、と考えた精神科医の達した結論は!? スミスはこういうのも書けるけど、ラヴクラフトには絶対無理でしょうね。いや存在したら謝りますが(^^;
 「彼方から狩り立てるもの」も東谷真知子訳で既読。「妖術師の帰還」同様ラヴクラフト風で、共に小説としては円熟していて、いわゆる面白い小説になっています。でも私がスミスに期待するのは、「アフォーゴモンの鎖」「魔力のある物語」のような、佶屈した過剰な描写によって喚起されるところの、或る特異な雰囲気なんですよね。
 「塵埃を踏み歩くもの」も、劈頭に一読では何が書かれてあるのか分からない「カルナマゴスの遺言」が掲げられて、一気にスミスワールドに引きずり込まれます(^^;

 巻末の訳者あとがきのタイトルが、いみじくも「時の彼方の神話から泡沫のロマンスへ」とあるように、アヴェロワーニュ・クロニクルは、蒼古的恐怖に加えて催淫的なイメージが強く出ています。訳者は慎ましくも「ロマンス」と表現していますが、もっと淫猥で、ある意味「ウィアードテールズ」の挿絵にふさわしい。恐怖と官能は小脳脳幹の旧皮質に由来する人類の最も古い本能的な感情ですが、本年代記は、「一見」まさに読者のそのツボを刺激する「ウィアードテールズ」的な物語群に見えます。しかし「一見」と書きましたように、そのような恐怖や催淫的なイメージが読者に劣情を齎すものとはならずに、一種神話的な高みの話になってしまうのが(山尾悠子のような鉱物的なイメージとは違いますが)、この作家らしい独特なところですね。
 先日も書きましたが、ゾティーク、ヒュペルボレオス、アヴェロワーニュの三大シリーズのなかでは、わたし的には一番面白かったです。いや全部面白かったのですが(笑)。
 あとがきに続刊の予告がありませんが、これで創元版スミス選集は終了なのかな。もう一、二冊は輯められそうですけどねえ。
 

「アヴェロワーニュ」読み中

 投稿者:管理人  投稿日:2012年 2月15日(水)21時50分5秒
   「ウェヌスの発掘」(ウェヌスってヴィーナスだよ(^^;)、「サテュロス」「シレールの魔女」(井辻朱美訳既読)、「物語の結末」「蟾蜍のおばさん」(井辻朱美訳既読)と読み進み、<アヴェローニュ・クロニクル>は読了。つづけて<降霊術綺譚>に入り、 「アフォーゴモンの鎖」「魔力のある物語」(大島令子訳既読)、「妖術師の帰還」まで。残り3篇。

 ちょっといろいろあって、感想はまとめてということで。ただ、「妖術師の帰還」はまんまラヴクラフトで、こういう「美しく」ないのは、例えスミスでも、わたしには合いませんね。
 

みじかばなし集

 投稿者:管理人  投稿日:2012年 2月14日(火)20時11分15秒
 
 

Re: 「自殺卵」最終修整

 投稿者:管理人  投稿日:2012年 2月14日(火)05時07分8秒
  > No.3442[元記事へ]

 ↑の記事、うっかり書き間違いしていましたので訂正しました。訂正線を引いてある部分です。画像をプリントアウトしたのではなく、正しくは、ワードパッド文書をそのまま印刷したのでした。やってみようかという奇特な方もおられるかもしれないので、念のため(^^;

 さて、カレッジポップスを聴いていたら、またMIDIシーケンサで遊びたくなり、久しぶりに(たぶん一年以上ぶり)作ってみました! チャレンジしたのはカレッジフォークの名曲「若者たち」。いやまあカレッジフォークってメロディが凝ってなくて、簡単そうなので(^^;。

 

 『アヴェロワーニュ……』「アヴェロワーニュの媾曳」「アヴェロワーニュの獣」「マンドラゴラ」を読む。
 「……媾曳」は森の中で、この世のものならぬ存在の住む城館に迷いこんで……という話。スミスはこのパターンをよく使いますね。ストーリーだけ追いかける人はストレートすぎるナイーブすぎると言って退けるに違いない。しかし実は、スミスを読む楽しみはそこにあるのではない。ストーリーは俳句の五七五のようなもので、そのような定型に何をどう乗せているかなんだと思うのです。つまり文体とムードでなんですよね。
 「……獣」は井辻訳で既読でよく覚えています。これは傑作。彗星の尾から降りてきて、月明かりの影を伝って魔物が移動するとか、よくもまあこんな魅力的なシーンを考えつくものですな。ある種天動説的な描写がわたし的にはめざましい。ラヴクラフトはちゃんと読んでないのですが、このような視界はクトゥルーでは一般的なんでしょうか?
 「マンドラゴラ」は何となく高丘親王の「ラフレシア」を思い出したのですが、「ラフレシア」ってどんな話でしたっけ(>おい)
 

「アヴェロワーニュ」読み中

 投稿者:管理人  投稿日:2012年 2月12日(日)23時14分34秒
   ようやく憑きものが落ちました。躁状態は収まり、そうしてみると、気づいていませんでしたが、この数日がらにもなく集中したためでしょう、ガチンガチンに肩が凝っています。と気づくやいなや、一気に疲れが出て、午後数時間、意識を失う。目が覚めたら常態に戻っていました。
 で、ぼんやりと、懐かしいカレッジポップスを聴いていた。私はGSはリアルタイムですが(小学五、六年)、その少し前のカレッジポップス(加山雄三含む)は、メロディは耳に残っているけれども、タイトルも歌手も知らない、という、音が横を流れていく的な聞き方をしていたので、実際のところyoutubeで、はじめてタイトルや歌っているグループを知ったものが多いのです。「旅人よ」も、加山本人よりもコカコーラのCMで、まず耳馴染んだように思い出されます。
 ちなみにGSは、カレッジポップスが低年齢化大衆化することで発生したといえるのではないでしょうか。カレッジポップスの担い手は(一部そのままGS化しますが大半は)大学卒業したら社会人になってしまうんですよね(そのかわりキャンパスではフォークが発生する)。

 ということでほっと一息ついで、ようやく『アヴェロワーニュ……』に復帰。60頁の中篇「イルゥルニュ城の巨像」を読みました。本篇も井辻訳で既読ですが、やはり傑作。ただし今回は、中篇ということもあってか展開がめずらしく派手で、派手な分、ストーリーを書かざるをえず、後半、幾分文体が緩んだな、と感じました。

 *それにしても↓こんなのがしっくり聴けるというのは、今度は躁の反動が来るのかもしれませんな・・。
 

 
 

「自殺卵」最終修整

 投稿者:管理人  投稿日:2012年 2月12日(日)15時33分4秒
   昨日ああ言っておいてなんですが、まだいろいろさわっておりまして、これがホントのホントの最終修正。これっきりこれっきりこれっきりですよー。
 ご覧ください。これならどなたさまも文句はないでしょう。私も思い残すことはありません。笑犬楼日録に「おとるともまさらない」出来のはずです(笑)。

 そもそもこれ、前からやりたかった実験でありまして、ウィンドウズ備え付けのワープロソフトの「ワードパッド」に、「@MS明朝」とか「@MSP明朝」などというフォントが入っているのをご存知でしょうか。
 これ、縦書きなんです。ただし私のウィンドウズXPでは、縦書きは縦書きながら、90度(正確には270度)傾いて上から下へ表示される。タブレット型なら、画面的には問題ないわけですが、これをそのままHTMLに組み込んでも、固定PCと同じで使いものにならない。
 そこで、これで作成した文書を、画像ソフトで、270度回転させて、JPG化したのでした。
 ここまでは頭の中で考えていたわけですが、実際にやってみると、昨日までのがそれですが、なんか見た目違和感があるんですね。
 で、今日は、思いついてJPG画像 @MS明朝のテキストをふつうにプリンタで印刷し、そのプリントを、あらためてスキャンで取り込んでみたのです。いま、御覧のがそれ。一工程増えましたが、格段に見栄えがよくなりました。大成功(^^)。これからは小説のアップはこの手でいこう。

 最近ワードを触ってないので、「@MS明朝」が入っているのかどうか知りませんが、当然入っているんでしょうが、使い勝手の極めて悪いワードを使わずとも、縦書き文書が作成できることがこれで分かりました。
 プリントアウトも綺麗です(ただし字間調整はできない)。こんど同人誌を作るときは、この方法でやってみようと思っているのであります(^^;

http://

 

眉村さん情報:日本SF作家クラブ50周年企画

 投稿者:管理人  投稿日:2012年 2月11日(土)22時07分37秒
   もうすぐですが、2月16日(木)、大阪第三ビルロボットラボラトリーにて開催される、「日本SF作家クラブ50周年トークイベント〜今こそ、共に未来を語ろう」に、眉村さんがパネリストとして参加されます。→http://ja-jp.facebook.com/events/307352232644513/

 他の参加者は、瀬名秀明さん、北野勇作さん、林譲治さん、山本弘さん、堀晃さん、あと関西在住SF作家複数とのこと。先着80名、交流会参加費1000円必要です。申し込み等詳細はリンク先参照。

 うーん。交流会ねえ。「大阪在住のSF作家が集結し、ビジネスアイデアを出し合」うらしい。出るのか?(笑) 星さんがご存命だったら無茶苦茶にされるね、きっと(^^;。あ、このメンバーだと北野さんが引っ掻き回し役でしょうか。21世紀版オモロ大放談? いずれにしろビジネスアイデアからはほど遠いディスカッションが展開されそうでこれは楽しみ。波乱に満ちたイベントになりそうですね(>おい!)。
 

眉村さん情報:「引き潮のとき」

 投稿者:管理人  投稿日:2012年 2月11日(土)13時55分21秒
  > No.3439[元記事へ]

 しまった、誤って投稿を消してしまった。タイトルを変えて(内容も増補して)再投稿します――

 『自殺卵』のテキスト、さらに5%縮小しました。これで文字の太さのバラバラ感はほぼ解消したのでは、と思うのですが、どうでしょうか?
 どうもこういう作業を蜿蜒とやっていますと、自分の見ている世界が他者のそれと果たして本当に同じなのか、という山田正紀的懐疑にとりつかれてしまいますな。ということで、私からのアクションはこれにて打ち止め。もちろん改善のためのご意見やご提案は歓迎で、可能なかぎり対応いたしますので、よろしくお願いします。

 ――さて、昨日、近くの某A書店に寄ったのでした。いうまでもなく「SFが読みたい」の出版芸術社の刊行予定を確認するため。
 ネットで、在庫されているのを確かめてから向かったのですが、店内を探しまわったけど見当たらない。で、店内の端末でみたら在庫あり。ただ場所は係に訊ねて下さいとの表示。

 うーむ。私は購入する気はなく単に確認したいだけだったので、ちょっと躊躇しましたが、まあ陳列場所だけ聞けば、あとはどうにでもなると思い、カウンターで尋ねた。
 ところが、ここから大騒ぎになりまして、三、四名の店員が店内をばたばた走りまわり始めた。ちょっと嫌な予感がしつつ待つこと五分か十分か、お姉さんが息せき切って「これでしょうか?」と持って来てくれました。非常に危険なシチュエーション。でもまあ、場所を聞いて、後でこっそり返せばいいだろうと受け取って見てのけぞる。

 なんとシュリンクがかけられているではありませんか。なぜにシュリンク? 破って見ていいですか、と聞くわけにも行かず、あきらめてレジへ持って行きましたが、なんかエロ本を買うみたいで、コソコソしなくてもいいのにコソコソしてしまいました。
 なぜこんな目に会わなければならないのか? ハヤカワもなぜこんな本にわざわざシュリンクするのか? どうもハヤカワの出版物とは、このところ相性が悪いんですよねえ。しばらくハヤカワは買わないことにしよう。

 で、車に戻って目的のページを見た。
 《眉村卓さんの傑作集を刊行します。「眉村卓コレクション 異世界編」(仮)と題して『ぬばたまの……』『傾いた地平線』『夕焼けの回転木馬』の三長篇に、それぞれ同系統の短篇作品を大幅に増補して、全三巻で刊行いたします》
 や、《未来・宇宙篇》、《少年篇》はフライングだったか! でも書いてしまったものは仕方ありません。出版芸術社にはゴールまで走り切ってもらいましょう(^^)。

 わ、更に嬉しい記事を発見しました!!
 東京創元社の刊行予定欄に、
『引き潮のとき』全5巻も刊行を始めます》
 とあるではないですか!(^^) これはめでたい。本書、黒田藩プレス版も途中で止まってしまったんですよね。それを出してくれるのですか東京創元社。いやさすが太っ腹。私も、今後どっちかと迷ったら、いや迷わず東京創元社の書籍を購入することで応援させて頂きますよ!(今でもそうなんですが(^^;)

 あ、これは眉村さん50周年企画(官主導)の第二弾といえますね。民間であるチャチャヤン残党も安閑とはしていられません。とにかくまず一歩踏み出さねば!!(来月の囲む会で提案します) 
 

「自殺卵」掲載しました

 投稿者:管理人  投稿日:2012年 2月10日(金)23時20分3秒
   皆さまお待たせしました。眉村卓『自殺卵』(50枚)を、ホームページに掲載しました。→http://okmh.web.fc2.com/i//index.htm#zisaturan
 どうぞお楽しみ下さい(^^)
 なお、誤字脱字文章がおかしい等、どうも管理人、タイプミスしてやがるな、と気づかれたことがありましたら、よろしくご指摘お願い致します。
 また、画面上うまく見えない、はみ出してしまう等の不具合がありましたら、それもぜひ教えて下さい。
 できるかぎり改善していきたいと思います。よろしくお願いします。

 追記。ブラウザの縮小率を99%にすると、なぜだかは分りませんが、文字が太くなって、私は見易くなりました。私のPCだけの現象なのかな? とりあえずご参考までに。

 追記。こちらで99%に縮小しちゃいました。見易くなったと思うのですが、ご意見があればお気軽に(^^;。
 

眉村さん情報

 投稿者:管理人  投稿日:2012年 2月10日(金)01時07分18秒
   本日(もう昨日ですが)2月9日読売新聞夕刊【亡き人と】(毎月第2木曜掲載)に、眉村さんのインタビュー構成記事「妻を励まし一日一話」が掲載されました。
 「それ(註「エイやん」)以降、自分のような存在を空想の中に入れて書いています。私小説ならぬ、私ファンタジーと呼んでいるのですが、年配の読者からは「共感する」と言ってもらえますね」

 その眉村さんの最新作「自殺卵」のテキスト化は45枚まで。あと5枚。でもきょうは疲れたので、残りは明日(^^;。

 『アヴェロワーニュ妖魅浪漫譚』は、詩「アヴェロワーニュ」と、短篇「怪物像をつくる者」「アゼダラクの聖性」まで。
 ああ、よいですなあ。うっとり。そういえば、或る種の山尾悠子作品に近い印象も……。それはこのアヴェロワーニュ・シリーズが、中世フランスの(架空の)一地方を舞台とするもので、今日読んだ二短篇とも、中世キリスト教的世界観が色濃いからではないでしょうか。わたし的には、前作のヒュペルボレオス・シリーズよりも、好みかもしれません。
 ところで、「怪物像をつくる者」は「ガーゴイルをつくる者」でいいのにねえ。怪物像のほうが分かりにくいような……。それとも〈原音主義〉的に使えなかったのか。「アゼダラクの聖性」は井辻朱美訳と大瀧訳の「ウィアードテールズ」で読んでおり、今回が三回目。やはり傑作ですね。何度読んでも飽きません。
 

眉村さん情報「眉村卓コレクション」愈々発進!

 投稿者:管理人  投稿日:2012年 2月 9日(木)15時18分24秒
   本日発売になった「SFが読みたい2012年度版」の、出版芸術社出版予定欄にて発表されていると思いますが、出版芸術社版『眉村卓コレクション』が、いよいよ今春(今夏?)よりスタートします!!
 まずは《異世界篇》として次の3巻が、順次刊行されます。

 1)長篇「ぬばたまの……」プラス短篇
 2)長篇「傾いた地平線」プラス短篇
 3)長篇「夕焼けの回転木馬」プラス短篇


 その後、《未来・宇宙篇》、《少年篇》と続く予定とのこと。詳しくは上記読みたいの内容紹介をご参照下さい。

 ただし日本SF全集もそうですが、この出版社、なかなか一気にとはいきません(>おい)(^^;。要は《異世界篇》の成功が、速やかなる次のステップへの必須条件となるそうです。となれば、私たちもしっかり応援しなければなりません。

 その意味で、この『眉村卓コレクション』のスタートを、「眉村さん50周年企画」のスタートとして位置づけるというのはどうでしょうか? いわば官民合同(?)で、50周年を言祝ごうというわけです(笑)。
 皆さまの熱いご支援を、よろしくお願いいたします!!

 

「虚無回廊」読了

 投稿者:管理人  投稿日:2012年 2月 8日(水)23時41分4秒
   小松左京『虚無回廊』(徳間書店11、元版87、87、00)読了。

 巻末座談会も読みましたが(さすが小松さんの「子供たち」、それぞれ鋭いです)、本格SF、ハードSFっぽいのは、連載第1回の100枚のみで、あとは、先般も書いたように「リングワールド」であり「階層宇宙」と同種の感じでした(そのように楽しんだということです)。そして宇宙人もAEもAI(VP)も、皆けっきょくは「人間」である点も含めて、まさに「オールドウェーブ」SFであったという印象。
 対談での発言にある、「終わりなき」伝奇小説というのは言い得て妙でした。そういえば元版第3巻相当部分は、『妖星伝』の後半を強く想起させられました。
 小説の構造は(連載第一回以外は)堀さんがおっしゃるように「直線的」で、これはたしかに「連載小説」、「伝奇小説」いずれをも契機として規定する要素ですね。その直線の合間、合間に、アイデアメモが開陳されているわけです。

 そういう意味で、ミステリ的な要素(SSとは何か)は大枠にあるとしても、実質は道中もので、ただし田中光二的なA地点からB地点へ至ってきれいに終わる体のそれではなく、出発点はあるものの、あとは風の吹くまま気の向くままの旅路であり、第3巻の議論も、対談を読むとすごいことを暗示しているみたいですが、やはりこの未完の最終地点から見れば、たんなる可能性の提示にすぎないともいえ、気ままな物見遊山の見物経路に並ぶ風景とか見世物小屋のひとつでしかない(エピソードの羅列>対談)。
 しかしこの旅は、小松さんがツアーコンダクターとして付いて解説してくれるパック旅行でもあるわけで、それゆえそれらの風景も、著者の名調子で格別な風景(落語の「地獄八景」みたいな>対談)として楽しみました。

 対談ではどのように締めるつもりだったのかということが推理されていましたが、私は締めることなど意識せず、思いつき(と言ってもとてつもない知識に裏打ちされた思いつきですが)を流れのままに書き広げていったような気がしますね。その意味で「大人(たいじん)」的な書きっぷりであり、或る意味、藤枝静男「田紳有楽」や石川淳「六道遊行」に対応する位置づけの小説といえるのではないでしょうか(「死霊」かも)。著者が第3巻を連載したのは60〜61歳で、そのような境地にはまだ早い気もしますが、実際本篇が最後の長編なのですから、わが推理、当たらずとも遠からずではないかと思います。

 本格的、ニューウェーブ的なものを期待して読み始めると、やや肩透かしです。やはり私は「リングワールド」を読むスタンスで読むのが正解だと思いますし、実際そのように読んで大いに楽しみました。そうしてしみじみ思ったのですが、けっきょく小松さんは、最後にオールドウェーブにたち還ったんだなあ……。というのが偽らざる感想でありました。

 ということで、去年刊行本消化シリーズは、明日から『アヴェロワーニュ妖魅浪漫譚』に着手の予定。
 

運河がない! バルスームなのに!!

 投稿者:管理人  投稿日:2012年 2月 8日(水)20時56分28秒
   
 『新版 火星のプリンセス』←創元文庫近刊!!
 

自殺卵vs超円筒

 投稿者:管理人  投稿日:2012年 2月 7日(火)23時15分45秒
   『自殺卵』は35枚まで。残り15枚。あの(唐突と思われた)ラストにはちゃんと伏線がはられていたのか、と、今更ながら読みの浅さに愧じ入るのでした(ーー;。

 『虚無回廊』は280頁(第三章6i)、すなわち元版第2巻まで読んだことに。うーむ。このあたりは『果しなき……』後半と全く同じですね。つまりアイデアメモを全てぶち込んだ印象。
 その個々のアイデアはそれぞれに、たとえば<超円筒>の成分に鉄族より重い元素は含まれず、それは<超円筒>が、超新星の出現以前すなわち60億年以上昔に建造されたことを示しているといったように、あっと驚くセンス・オブ・ワンダーたっぷりなものなんですが、それらが(今のところ)ストーリーを推進していく方向には働いていないような(例示したアイデアはストーリーと密接ですが)。いや最後にそれらがすべて一点に凝集して爆発するのかも知れませんが(^^;
 

自殺卵vs楕円球体

 投稿者:管理人  投稿日:2012年 2月 7日(火)03時04分10秒
   「自殺卵」からの連想で、ふと岸田理生「楕円球体」を思い出しました。《奇想天外》に発表された幻想小説はどれも素晴しくて、当時は山尾悠子と並ぶ二大お気に入り作家でしたねえ(^^)。作品集は、『最後の子』『水妖記』の二冊があり、前者は《奇想天外》掲載作品中心なのでこれは傑作集でしたが、後者はどうも合わず(鉱物的結晶的な山尾作品とは対極的な生理的イメージが強くて)途中でやめたような……。
 うーん。これを機会に再チャレンジしてみようかね。
 

眉村さん情報

 投稿者:管理人  投稿日:2012年 2月 6日(月)23時02分29秒
   高井さんのところで教えてもらったのですが(ここのコメント欄)、電子書店パピレスで電子書籍『妻に捧げた一日一話 完全版』が発売されました!
 10巻まで配信されており。してみますとこれは、真生印刷から第一期として出版された『日課・一日3枚以上』(全10巻)を底本としているようです。
 言うまでもなく真生印刷版は1778話のうちの1000話を収録したもので、なお第二期分778話が単行本としてはまとまっていません(単品で各所に収録されたのはあります)
 今回、「完全版」と銘打たれたところからして(全10巻とも書かれていませんし)、未刊行の第二期778話も、ひきつづき配信されるように思われるのですが、どうなんでしょう? ぜひとも出していただきたいものですが……。期待したいと思います。

 さて、「自殺卵」テキスト化は25枚まで。半分いきました。この作品、大胆なことを言わせてもらいますと、わずか50枚ながら、そこはかとなくイギリス伝統の破滅=サバイバルSFの印象がありますなあ。どんなもんでしょうか。皆さんの感想をお聞きしたいです。あと半分、もうしばらくお待ち下さい!
 

眉村さん情報

 投稿者:管理人  投稿日:2012年 2月 5日(日)20時44分23秒
   眉村さんの新作短編(50枚)をお預かりしています。ただいま必死のパッチでワープロ打ち込み中、現在15枚。打ち終わった分を見直ししていたら、嫌になるほど勝手に読んでいて冷や汗。打ち込みしながらですらこうなんですから、ふだんの黙読ではどんだけ二次創作になっているんだろう、と心配になって来ます。
 それはさておき、傑作ですよ〜!!! 遅くとも一週間以内には「とべ、クマゴロー!」にアップいたしますので、みなさんお楽しみに〜!

 タイトルは「自殺卵」。世界中で、卵型の自殺器がばらまかれる。キャップを外すと中に針があり、それを自分の体のどこにでも刺すと、一瞬で死に至れる。誰がばらまいているのか? 人間の時代は終わった、どうぞ死んでください、という手紙が、いつの間にか郵便受けに差し込まれている。だんだん人口が減っていく(おもに老人と若者から)。年金生活者の主人公は……!?

 乞うご期待!!

 さて、『虚無回廊』は、200頁(第二章4iまで)。うーむ、ますますリングワールドぽくなってきました。
 SSってのは、つまり宇宙の誘蛾灯(もしくはアンコウの疑似餌)なんですね。銀河系の任意の地点にパッと出現すると、長さ20光年、直径10光年の巨大茶筒にたどり着くことが可能な知的種族は、その知的探究心ゆえに、引き寄せられ、パクッと食われてしまうのです。そしてSSはまた別の地点に巨体を遊弋させ、新たなお客さんを待つのであった(嘘)。
 SSはリングワールドで(創造者は不明のまま)、主人公たちはルイス・ウーのクルー同様、その世界でさまざまな種族と出逢う。
 それにしても、出てくる宇宙人すべてねーんげんぽいですなあ(^^;。その点でも本格SF的な読みは跳ね返されます。むしろアレゴリーとして書かれているのか。続きが楽しみ(^^)
 

粗にして野だが、ヒ一族だ

 投稿者:管理人  投稿日:2012年 2月 4日(土)23時31分42秒
   昭和8年生まれの半村良さんは、眉村さんより一歳年上なだけですが、闇市をよく描いていたような気がしますね。『産霊山秘録』でも闇市で特殊能力を発揮する少年が描かれていませんでしたっけ。未読なんですが『晴れた空』は、まさに闇市舞台の体験的小説だったような。小松さんにしたって、昭和6年生まれで、眉村さんと3歳しか違いません。生年よりむしろ置かれた環境で、体験はずいぶん異なってしまうということなんでしょうね。石原藤夫さん(昭和8年生まれ)の作品には、今ふりかえって、「戦後」を感じさせられる記述はなかったように思います。  

マグラダのドグラ

 投稿者:管理人  投稿日:2012年 2月 4日(土)18時19分23秒
   アラン・パーソンズ・プロジェクトに「ガウディ」というアルバムがあって、その冒頭の「サグラダ・ファミリア」という曲を、教養がないもので、私はずっと「サクラダ」と聴き違いしていました(聴けば分かりますが「サクラダ」としかきこえない)。で、これをパスって「桜田ファミリア」というタイトルが使えるな、などとと思っていたりしたのだけど、使わなくてよかったー(汗)
 ところでサグラダといえばマグダラですね(なんでやねん)。マグダラのマリア。これまた私にはパスったタイトルの在庫がありまして、それが標記の「マグラダのドグラ」なのです。いま検索してみましたが、まだ誰にも使われていませんね(^^;。けっこう気に入っているのですが、問題は、これをタイトルに使える作品を、全然思いつかないこと。どうも結局、未使用のまま埋もれさせてしまいそうな感じです。それはもったいないと思い、とりあえずタイトルだけ晒してみました。いい話思いついた、という方は、どうぞご自由に(笑)。
 さて、マグダラのマリアといえば、マタグラのマリアですね(なんでやねん)。これ、そこはかとない下品さから、なんとなく野坂昭如がもう使っているような気がしていたんですが、野坂は「真夜中のマリア」でした。で、また検索かけてみたところ、これはかなりヒットしました。ネットは下品から広がっていくというのはまさにそのとおりですね。

 
 

「原っぱのリーダー」

 投稿者:管理人  投稿日:2012年 2月 3日(金)21時06分19秒
   「原っぱのリーダー」を読み返しました。きのう、この作品自体が、焼跡闇市派の弟世代の小説そのものであるみたいな書き方をしました。勘違いしていました。本篇の原っぱは、戦後のそれを、直接明示するものではありませんでした(汗)。
 しかし眉村さんは、戦後の原っぱについて、何度も書いておられます。強弁するようですが、この原っぱに著者が籠めた思い入れ、郷愁は、やはり戦後の原っぱにつながっていると私は思います。
 空襲によって都市は灰燼に帰し、見渡す限りのだだっ広い焼け跡が拡がります(例:「日本アパッチ族」の兵器工廠跡地)。小松左京(昭和6年生)や野坂昭如(昭和5年生)、開高健(昭和5年生)たちは、そこに或る自由を見出すわけですが、放置された焼け跡は、忽ち生命力旺盛な丈高い雑草に覆い盡され茫々の原っぱと化す。昭和9年生まれで、終戦年11歳の眉村さんにとっては、この原っぱこそが主たる遊び場であり自由の象徴でもあった。眉村さんが強く印象を刻印されたのは、焼け跡でも闇市でもなく、この原っぱだったんですね。とはいえ原っぱの時代はごく短期間で、朝鮮戦争特需にスイングバイされて、あっという間に原っぱはきれいに整地され建築ラッシュが始まるのですが。……

 さて、その小松左京の『虚無回廊』ですが、第1章1i(140p)まで読んだ。丁度元版三分冊の第1巻に相当。おお、これはイーガンですね(勿論小松が先)(^^; でも想像していたのとは違って、むしろ「リングワールド」や「階層世界シリーズ」っぽい感じがするなあ。この先が楽しみ。
 

眉村さん情報

 投稿者:管理人  投稿日:2012年 2月 2日(木)20時46分57秒
   眉村さんの秀作短篇「原っぱのリーダー」を収録したアンソロジー『それはまだヒミツ―少年少女の物語―(今江祥智/編)が、新潮文庫より上梓されました。私はまだ入手していないのですが、2月1日発売なので、既に店頭に並んでいるかも知れません。

 本アンソロジー、実は1992年に同じ新潮文庫から出された今江祥智・灰谷健次郎/編『新潮現代童話館』(全2巻、「原っぱのリーダー」は2巻に収録)から、さらに厳選し一巻本にまとめ直したもののようです(新潮社HP(立ち読み)で目次確認できます)。灰谷健次郎さんは既に他界されており、今回、今江祥智さんの単独名義での新装復刊となったようです。

 「原っぱのリーダー」は鮮烈な少年小説なんですが、戦後文学史的にみても非常に重要な作品で、眉村さんが<焼跡闇市派>の弟世代として<原っぱ派>を標榜したエポックメイキングな作品と私は位置づけています。焼跡闇市派は<生活者>として戦後を体験したのに対し、原っぱ派はまだ親の(あるいは焼跡闇市派の兄の)脛齧りとして戦後を通り抜けたのです。

 本篇、眉村さんの単行本には未収録の作品なので、未読の方はぜひこの機会にお読みになるとよいと思います。

*)「原っぱのリーダー」は、川本三郎選『少年の眼―大人になる前の物語―(光文社文庫97)にも収録されていますが、アマゾンで確認すると品切れになっていますね。
 

みじかばなし集

 投稿者:管理人  投稿日:2012年 2月 1日(水)19時59分42秒
   蛇を踏む。ぐじゃ。猫を踏む。ぐにゃ。お茶を踏む。ぐちゃ。鳥を踏む。ぐちょー。
 調子に乗って鬼を踏んだら、反対に踏み返された。ぐき。痛くて涙が出た。ぐすん。
 どーせ俺はバカだよ。屋上から飛び出した。***。
 

あかん

 投稿者:管理人  投稿日:2012年 2月 1日(水)00時29分0秒
   下の投稿後、つづきを読みかけたのですが……やっぱり無理。いちいち気になって読むのが苦痛になってしまいました。私にはこの文章は読めません。
 前作『黒十字サナトリウム』は、欠点がありながらもムードは買っていて(→感想)、今回、期待していたんですけどねえ。語の選択が甘すぎる。微妙に間違っています。いちいち指摘していたらきりがないので一例だけ……
 「狛犬が凶暴に低く唸った。教室中が厳格さにおそれをなして、灰猫全員ぎゅっと身を強張らせた。」(95p)(下線、管理人)
 もう一例……
 「今度は深く吸いいれ、噛んでふくめるようにして、那智は悠然と白い煙を吐く。」(93p)(同上)

 もっと落ち着いて的確に語を選ばなければ、ラノベ読者はだませても一般読者には通用しません。

 ということで、気を取り直して明日からは『虚無回廊』に着手。
 

過去ログ
inserted by FC2 system